米極右が「反ファシズム」をねつ造で中傷 家庭内暴力の画像使い

BBCトレンディング

Two images of Anna Friel from a domestic violence campaign. The doctored image, on the left, features an anti-fascist logo and the caption "53% of white women voted for Trump. 53% of white women should look like this"

画像提供, Twitter/Womens Aid

画像説明, 「反ファシズム運動は『トランプに投票した白人女性はこうするべき』とポスターを作った」と極右が主張に使っているねつ造画像(左)。女優アナ・フリールさんは2007年、家庭内暴力への抗議運動のために右の写真を撮った

米国の極右活動家たちは、ツイッターの偽アカウントや家庭内暴力被害者の写真をねつ造して使い、米国の反ファシズム運動の評判をおとしめようとしていることが、オンライン調査で分かった。

市民ジャーナリストによる調査報道サイト「Bellingcat」の研究者、エリオット・ヒギンズ氏によると、極右活動家たちはアンティファ(反ファシズム運動の総称)をかたる偽のツイッター・アカウントを使い、「ドナルド・トランプ米大統領や白人至上主義を支持する女性たちに暴力を加えるようアンティファが呼びかけている」という印象操作を展開している。

ヒギンズ氏は、こうした運動は右派支持者が掲示板サイト「4Chan」で組織し動かしていると示す証拠を得ている。

極右による運動ではたとえば、顔にたくさんの傷やあざをおった女性の写真に、「白人女性の53%がトランプに投票した。白人女性の53%はこうなるべきだ」というキャプションを添えて、反ファシズム運動のシンボルも掲示している。

しかしその写真の女性は実際には英女優アナ・フリールさんで、写真は家庭内暴力に抗議する2007年の啓発キャンペーン用に撮影されたものだった。

「アンティファ」運動をおとしめようとするこの画像は、8月23日夜からソーシャルメディアに登場するようになり、「#PunchNazis(ナチスを殴れ)」、「#MakeRacistsAfraidAgain(人種差別主義者をまた怖がらせろ)」、「#BashTheFash(ファッショをやっつけろ)」などのハッシュタグが添えられていた。

反ファシスト組織のものとみせかけたアカウントが、この画像を次々にツイートし、トランプ氏に投票した女性たちに暴力をふるうよう、反ファシズム活動家たちに呼びかけた。

A Twitter account from @Antifascist19 shows a photo of a battered woman with the text "She chose to be a Nazi. Choices have consequences". It is followed by two tweets from @TrumInTheNorth that say "This is disgusting. Now the far left adbocates domestic violence" and "Why are you antifa hitting women? This is what happens when the far left take control"

画像提供, Twitter/Womens Aid

画像説明, アンティファ団体のふりをしたアカウント「@Antifascist19」は、暴力を受けた女性の写真と共に「彼女は自ら選んでナチになった。選択には結果がつきものだ」「#ナチスを殴れ」と投稿。そこに、右派支持者のアカウントが「ひどい話だ。極左は今じゃ家庭内暴力を推奨してる」、「お前たちアンティファはなんで女性を叩いてるんだ? 極左に仕切らせるとこうなるんだ」と返答している

ジョセフ・ポール・ワトソン氏など著名な極右活動家もこうしたミーム(ネット画像)をリツイートした。

ユタ州のアンティファ団体を名乗るアカウント「@RockMountAntifa」は、こうした画像を4時間の内に29回ツイートした。

「彼女が自分は右翼だっていうから、左フックをくらわせたんだ」というキャプションつきの画像もあった。

しかしこのアカウントは典型的な偽アカウントだ。今月になって登録したばかりで、最初のツイートは24日。29種類の画像をツイートした以外は、何も書いていない。

シリアの化学兵器使用の証拠を追跡調査した経験もあるヒギンズ氏は、反アンティファ運動の出所が掲示版サイト「4Chan」だと示す証拠をつきとめた。4Chanは、「オルタナ右翼」グループの集会所として知られ、その「政治的に正しくない(ポリティカリー・インコレクト)」な掲示板には、人種差別や同性愛差別の極端な内容が大量に書き込まれている。

ヒギンズ氏はこの掲示板上で行動を呼びかける投稿のスクリーンショットをとった。この呼びかけは極右支持者に、家庭内暴力や児童虐待の写真をオンラインで探し、「ナチスだったから仕方がない」など自作のスローガンを添えて、「ナチスを殴れ」など特定のハッシュタグを使ってソーシャルメディアに投稿するよう指示している。

Screenshot from a 4Chan messageboard with instructions: Get pictures - search "domestic violence campaign" or "child abuse campaign", add something like "she deserves it for being a Nazi", put on social media using hashtag PunchANazi

画像提供, Eliot Higgins

この投稿が使った画像は、偽の反ファシスト・アカウントが拡散している画像と同じだ。

米バージニア州シャーロッツビルの衝突を機に緊張が高まる米国で、反ファシズム運動の評判を貶めることが、4Chanに端を発したこの運動の狙いのようだ。

シャーロッツビルでは、極右集会に抗議する人たちの中に極右支持者が自動車で突入し、地元在住のヘザー・ハイヤーさん(32)が死亡した。

衝突を受けてトランプ大統領は、極右活動家だけでなく、左派グループにも非があると述べ、双方を同列扱いしたと広く非難された。

ねつ造画像を使って反ファシズム運動を中傷しようとする運動は、仕組まれたものだと明らかで、「かなりお粗末だ」とヒギンズ氏は言う。

「画像をツイートしてるアカウントの多くは、明らかに10時間以内に作られたもので、フォロワーが非常に少ない」

「今回のこれは意図が見え見えの、かなり情けない手口だったが、白人国家主義グループが今後、もっと高度な中傷運動を展開しようとしても驚かない」と、ヒギンズ氏は指摘する。