ロシアがウクライナ各地に複数回の夜間攻撃、少なくとも18人死亡 過去数カ月で最悪規模

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サラ・レインズフォード東欧特派員(キーウ)、ヤロスラフ・ルキフ記者
ロシアは16日にかけて、ウクライナの首都キーウなどへ複数回にわたり空爆を実施し、700機を超えるドローンやミサイルを発射した。ウクライナ各地で少なくとも18人が殺害された。ウクライナの地元当局は、過去数カ月間で最も死傷者数の多い攻撃だとしている。
当局によると、ウクライナ南部の港湾都市オデーサで9人、中部の街ドニプロで5人、首都キーウで子ども1人を含む4人が殺害されした。
一方でロシア南部クラスノダール地方ではウクライナのドローン攻撃があり、2人が殺害されたと、ロシア政府が発表した。ヴェニアミン・コンドラチェフ知事によると、ウクライナによる夜間のドローン攻撃で、トゥアプセ市内で14歳の少女を含む2人が殺害された。さらに、5人が負傷したという。
ウクライナとロシアは9日、正教会の復活祭に合わせた停戦に合意した。しかし、停戦が現地時間4月11日午後4時に始まって以降、双方が、数百件の違反があったと互いに非難していた。
ロシアは2022年2月、ウクライナへの全面侵攻を開始した。
キーウの状況
キーウでは現地時間16日午前2時30分に警報が鳴り響き、大勢が目を覚ました。それからほどなくして、最初の爆発が起きた。
目撃者たちがオンラインに投稿した複数画像では、市中心部でオレンジ色の炎が上がり、巨大な黒煙が立ちのぼる様子が確認できる。ドローン1機が、集合住宅の側面に直撃する様子が映っている動画もある。
キーウのヴィタリー・クリチコ市長はメッセージアプリ「テレグラム」で、死亡した4人の中に12歳の少年が含まれると明らかにした。この空爆では45人が負傷したという。
市中心部ポディル地区では救助隊が、倒壊した16階建て集合住宅のがれきの中から母親と子ども1人を救出したとも、クリチコ市長は付け加えた。
キーウ北部で負傷した人の中には、救急医療従事者4人が含まれるという。
そのほかの地域の被害
ドニプロペトロウシク州のオレクサンドル・ガンジャ知事は、ドニプロ市でロシアの攻撃があり、4人が死亡、十数人が負傷したと発表した。その後、ドニプロのボリス・フィラトフ市長は、さらに別の1人の遺体が見つかったと明らかにした。
北東部ハルキウでは、ドローン攻撃により77歳の女性と66歳の男性が負傷したと、当局者が明らかにした。
地元当局によると、南部の街ミコライウとヘルソンでは停電が発生した。
ウクライナ空軍は16日朝、直近24時間でロシアがドローン659機と、巡航ミサイルと弾道ミサイル計44発を発射したと発表した。
空軍はドローン636機とミサイル31発を撃墜したが、計26カ所が直撃を受けたと説明した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシアの攻撃を非難。アメリカや欧州による対ロシア制裁を緩和すべきではないことは、この事態からも自明だと、ソーシャルメディアに投稿した。
「ロシアは戦争に賭けている。だからこそ、それに見合った対応をすべきだ。全力を尽くして命を守り、全力を尽くして平和を追求しなければならない」と、ゼレンスキー氏は述べた。

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防衛と制裁強化は
ゼレンスキー氏は今週初め、アメリカ製地対空迎撃ミサイル「パトリオット」が不足し、深刻な状況だと警告した。ウクライナがロシアの弾道ミサイルを迎撃するには、パトリオットが唯一の手段。
パトリオットの世界的な在庫には限りがある。2月末にアメリカとイスラエルがイランへの攻撃を開始して以降、その多くは中東へ移送されている。
ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、ロシアによる最新の攻撃は「戦争犯罪」だと非難し、ウクライナの同盟各国に対し、ロシア政府への圧力を強め、ウクライナ支援を拡大するよう同盟国に求めた。
シビハ外相は制裁措置を念頭に、「侵略者に対する圧力を強めるのに必要なあらゆる決定を、直ちに実施する必要がある」と、ソーシャルメディアに投稿した。
ウクライナはまた、欧州連合(EU)によるウクライナへの900億ユーロ(約16兆8000億円)の融資について、素早い実行を切望している。この融資策に強く反対していたハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相は、12日のハンガリー総選挙で敗北し、16年続いたオルバン政権に終止符が打たれることとなった。
EU融資が実現すれば、ウクライナの防衛と経済支援に充てられることになる。
ウクライナでの戦争は2月に5年目に突入した。アメリカが仲介役を務める和平協議は、これまでに複数回行われている。
ただ、ドナルド・トランプ米大統領が中東での戦争に注力するようになって以降、ウクライナをめぐるプロセスは停滞している。
ウクライナ側は、ロシアの侵攻を恒久的に終結させるための交渉への第一歩として、全面的かつ安定した停戦の実現を繰り返し提案している。
一方でロシア政府は、まずは和平合意を結ぶべきだと主張している。ウクライナ政府は、ロシアは戦闘終結に本気ではないと非難している。










