米メトロポリタン美術館のガリアーノ展、批判され中止に

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イアン・ヤングス文化担当記者
英ファッションデザイナーのジョン・ガリアーノ氏と米ニューヨークのメトロポリタン美術館は8月31日、来年5月に同美術館で開催予定だった展覧会「John Galliano: Horizons」の中止を発表した。ガリアーノ氏のデザイナーとしての功績をたたえる予定だったこの展覧会の計画が明らかになると、同氏が2011年にフランスでユダヤ人差別発言を理由に人種差別的侮辱罪で有罪判決を受けたことについて、批判があらためて高まっていた。
ガリアーノ氏は31日の声明で、「メトロポリタン美術館および関係者全員と熟慮と協議を重ねた結果、大変残念なことながら、現時点では展覧会を開催しないのが最善だと判断した」と述べた。
イギリス出身のガリアーノ氏は、パリのレストランでユダヤ系の学芸員に暴言を浴びせた事件などを理由に、ファッションブランド「ディオール」のクリエイティブディレクターを解任されたほか、人種差別的侮辱罪で有罪判決を受け、執行猶予付きの罰金刑を言い渡された。
2011年に仏パリの刑事裁判所で行われた裁判では、ガリアーノ氏が学芸員だけでなく、学芸員の南アジア出身の友人も人種差別的な発言で侮辱したこと、また別の機会にナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーが大好きだと公言していたことも明らかになった。
「深く後悔している」
ガリアーノ氏は当時、自分の行動について謝罪した。弁護士は「仕事上のストレスと複数の依存症」が原因だと説明した。
ガリアーノ氏は31日の声明で、「過去の私の発言によって引き起こされた苦痛、特にユダヤ人コミュニティーとアジア人コミュニティーに与えた傷について、私は依然として全責任を負い、深く後悔しています」と述べた。
「意味のある形の償いとは、展覧会や組織による顕彰、あるいはたった一つの公的な行為によって、実現するものではないと理解しています」とガリアーノ氏は続け、「意味ある償いとは、たえまなく責任を取り続け、よく聞き、よく学び、そして長期間にわたる自分の行動を通して示すものです」と述べた。
ガリアーノ氏は、今回のことでメトロポリタン美術館の服飾部門、コスチューム・インスティテュートの「素晴らしい活動」が隠れてしまうのは本意ではないとしたほか、「私の作品をたたえる展覧会は、一部の人々にとってつらいものになる」ことも理解し、尊重していると書いた。
声明ではさらに、依存性物質を使わなくなり15年たつことや、「アルコール依存症および(薬物)依存症からの回復」について書いている。

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メトロポリタン美術館は毎年春、コスチューム・インスティテュートの資金確保のためにチャリティーイベントの「メット・ガラ」を開催。近年では世界的に注目を集めてきた。同美術館では、ガリアーノ展に合わせて次のメット・ガラのテーマも、ガリアーノ氏になる見通しだった。
著名人が多数出席するこのメット・ガラは来年5月3日に予定されていたが、その日はホロコースト犠牲者追悼記念日(ヨム・ハショア)でもある。
ファッション誌ヴォーグのグローバル・エディトリアル・ディレクターで、メトロポリタン美術館の理事ならびにメット・ガラ共同議長でもあるアナ・ウィンター氏は、31日の発表でガリアーノ氏を支持すると表明。「自分の作品展をこの時期に開催すべきではないというジョンの決断は、とても勇敢な行動で、彼がどういう人間かを表すものだ」と述べた。
「これは正しい判断だと思うし、彼と博物館の両方を私は全面的に支持する」とも、ウィンター氏は述べた。
「誤った判断」
メトロポリタン美術館によるガリアーノ展にはこれまで、反対する声が多数上がっていた。
ニューヨーク市議会のジュリー・メニン議長は、「メトロポリタン美術館と長時間の会合や話し合いを繰り返した結果、ジョン・ガリアーノを称えないことに美術館が同意してくれたことを、嬉しく思う」と述べた。
「私は最初から、(展覧会開催の)決定に強く反対していると、美術館に伝えてきた。反ユダヤ主義が高まっているこの時期に、この企画はユダヤ人社会にとって大きな痛手だった」とメニン氏は指摘し、展覧会中止は「正しい判断だ。この計画が引き起こしていた害と苦痛は、とても容認できるものではなかった」と述べた。
反ユダヤ主義への対抗を掲げる弁団体「反名誉毀損連盟」のジョナサン・グリーンブラット代表は、反ユダヤ主義が「危機的なレベル」に達している現状において、ガリアーノ氏を称えることは「見当違い」だと述べた。
「ガリアーノ自身も最終的には、メトロポリタン美術館が最初からどうすべきだったかに気付いた」、「(展覧会の企画は)不適切なタイミングでの間違った行動だった。タイミングは大事だ」とも、グリーンブラット氏は述べた。
ガリアーノ氏は一部で、最も偉大なファッションデザイナーの一人だとみなされている。有罪判決後にファッション業界に復帰し、2024年まで10年間、ファッションブランド「マルジェラ」のクリエイティブディレクターを務めた。









