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ガザ停戦第1段階、中東に「歴史的夜明け」とトランプ氏 イスラエル人人質とパレスチナ人収監者の交換実現で
イスラエルとイスラム組織ハマスが13日、パレスチナ・ガザ地区をめぐる停戦合意の第1段階として、パレスチナ人収監者とイスラエル人人質をそれぞれ解放した。2年にわたるガザでの戦争終結に向けた重要な一歩となった。ドナルド・トランプ米大統領はこれを、「中東における歴史的な夜明け」だと述べた。エジプトでこの日開かれた首脳会議では、交渉を仲介したエジプト、カタール、トルコ、アメリカの4カ国がガザ和平文書に署名した。
ガザ停戦に向けた重要な第1段階として、ハマスは生存するイスラエル人人質20人全員を、イスラエルは約2000人のパレスチナ人収監者とガザ出身の拘束者を引き渡した。
イスラエルでは、釈放された人質たちが次々に家族と再会。歓喜の涙を流して抱き合った。
ガザやイスラエル占領下のヨルダン川西岸地区では、イスラエルの刑務所から釈放されたパレスチナ人を群衆が出迎えた。住民は旗を振り、釈放を喜んだ。
トランプ大統領は13日、人質が家族と再会して間もなく、イスラエルに到着。イスラエルの国会(クネセト)での演説で、「新しい中東における歴史的な夜明け」だと宣言した。
トランプ氏はその後、エジプトのシャルムエルシェイクに空路で移動し、ガザ和平計画の次の段階について協議するため、20人以上の指導者とサミットに出席した。
このサミットで、エジプト、カタール、トルコ、アメリカの4カ国は、停戦合意の保証国としてガザでの和平をめぐる文書に署名した。
外交的成果や家族との再会に歓喜が広がる一方で、恒久的な平和の構築には多くの課題が残されている。
トランプ氏が仲介した20項目からなる段階的な和平計画の後半部分には、課題が山積しており、この計画を進めるための交渉は厳しいものになると予想される。
イスラエルとハマスの停戦合意は10日朝に発効された。先週末にかけて、ガザへの援助物資の搬入量は増加した。
13日には、イスラエルに拘束されていたパレスチナ人と、ハマスに拘束されていたイスラエル人人質のうち生存する計20人全員が解放された。
人質らの交換は概ね計画通り進んだものの、死亡したイスラエル人人質の遺体の返還をめぐっては、遺族からは怒りの声が上がっている。
ハマスは死亡した最大24人の遺体も引き渡すことになっていたが、13日夜にイスラエル側に引き渡されたのはその一部だけだった。
イスラエル軍とイスラエル総保安庁(シンベト)は共同声明で、「死亡した人質の棺」が四つ、イスラエルに到着したと発表した。
4人の遺体は国立法医学研究所に移され、身元確認の手続きが取られるという。
声明は遺体の身元は明かしていない。「配慮を持って行動し、公式な身元確認の結果を待つよう」国民に呼びかけている。
イスラエル軍は先に、法医学的検査を行ったうえで遺体の身元を確認し、遺族へ通知すると説明していた。
ガザには、死亡したイスラエル人人質最大24人の遺体が残されていると考えられていた。イスラエル・メディアが公開した停戦合意によると、ハマスや、パレスチナのほかの勢力が、合意された期限内にすべての遺体の所在を特定できない可能性があるという。
合意の第1段階として、イスラエルは刑務所に収監していたパレスチナ人約250人のほか、ガザ出身の拘束者1700人を釈放した。
ヨルダン川西岸地区ラマラにはこの日、釈放されたパレスチナ人を乗せた赤十字のバスが到着した。パレスチナの伝統的なスカーフ「クーフィーヤ」を身に着けた人々がバスを降りると、大歓声が上がった。しかし、その多くは顔色が悪く、非常に痩せていた。歩くのに苦労する人たちもいた。
トランプ氏、「長く苦しい悪夢がついに終わった」
13日にイスラエルに到着したトランプ氏は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の歓迎を受けた。イスラエル国会でアメリカ大統領が演説したのは2008年以来。
トランプ氏は、中東地域が「新しい中東の歴史的な夜明け」を迎えているとした。
「イスラエル人だけでなく、パレスチナ人にとっても、長く苦しい悪夢がついに終わった」とトランプ氏が語ると、議場では一部の議員が「トランプ、トランプ、トランプ」と声を上げた。
他方、野党議員が「パレスチナ(国家)を承認せよ」と書かれた紙を掲げたため、演説が中断される場面もあった。
トランプ氏は、自分が仲介した停戦について、「かつてないほど難しい突破口だった。もしかすると、史上一番難しい突破口だったかもしれない」と述べた。そして、自分は次に、ロシアとウクライナの戦争終結に注力していくと示唆した。
トランプ氏はネタニヤフ氏との直近のやり取りの一部を明かし、ガザでのイスラエル軍の作戦が「悪化」し「過熱」していると感じていたと述べた。
トランプ氏は、「『ビビ(ネタニヤフ氏の愛称)、このまま殺して、殺して、殺し続けるより、これ(停戦合意)を実現した方が、ずっと記憶されることになる』と言ったんだ」と明らかにした。
ネタニヤフ氏は議会で、トランプ氏をホワイトハウスにいた中で「最も偉大な」イスラエルの友人だと呼んだ。
昨年の米大統領選でトランプ氏が再選したことで、ガザでのイスラエルの軍事作戦に対するアメリカの態度は「一変した」のだと、ネタニヤフ氏は述べた。
そして、ガザに残るイスラエル人人質の解放に向けて「絶え間ない支援」を行ったトランプ氏に感謝の意を表した。
これに応えてトランプ氏はネタニヤフ氏について、「扱いやすい相手とは言い難いが、だからこそ偉大なんだ」とたたえた。
イスラエル国会では、マルコ・ルビオ米国務長官やピート・ヘグセス米国務長官らも歓迎を受けた。
ガザ停戦をめぐる交渉仲介に関わったスティーヴ・ウィトコフ中東特使や、トランプ氏の娘婿で、第1次政権で上級顧問を務めたジャレッド・クシュナー氏が紹介をうけると、イスラエル議員からはとりわけ大きな歓声が上がった。クシュナー氏の妻イヴァンカ・トランプ氏も同席した。
聴衆の中には、「トランプ平和大統領」と書かれた赤い帽子をかぶる人々もいた。
来年のノーベル平和賞の受賞者にふさわしい人物はトランプ氏以外いないと、議長は述べた。
ガザでの戦闘継続を望む一部議員は出席しなかった。
「ガザ再建が始まる」、ガザ和平文書にトランプ氏ら署名
その後、トランプ氏はエジプトのシャルムエルシェイクに移動し、イギリスのキア・スターマー首相やフランスのエマニュエル・マクロン大統領、イスラム圏やアラブ地域の指導者ら20人以上と協議した。
仲介当事者のエジプト、カタール、トルコ、アメリカの4カ国は、停戦合意の保証国としてガザでの和平をめぐる文書に署名した。
トランプ氏は、「誰もが喜んでいる」とし、自分は「これまでにも大きな取引」をしてきたが、「これはロケットみたいに打ちあがった」と付け加えた。
「これ(合意に至るまで)には3000年かかった。信じられますか? それにこれは、もちますよ」とも、トランプ氏は述べた。
トランプ氏は、ガザに「新たな美しい日が訪れ、今こそ再建が始まる」とも述べ、イスラエルとハマスの停戦を確固たるものにしたとして、周辺地域の指導者たちを称賛した。
エジプトのアブドゥルファッターハ・エル・シシ大統領は、「苦痛に満ちた一章に終止符を打つ、歴史的節目」の日だと語った。
トランプ氏は「中東の和平」との文字が書かれた壁を背に、ほかの指導者たちと一緒に写真撮影に応じた。
このサミットには、パレスチナ自治区のマフムード・アッバス議長も出席した。アッバス氏は米ニューヨークで先月末に開かれた国連総会では、ほかのパレスチナ自治政府関係者80人とともに米国務省からビザ(査証)を取り消されたため渡米できず、ビデオ演説していた。
会場には、ガザでの戦争を終わらせるアメリカの計画を監督する「平和評議会」で重要な役割を担うとされるイギリスのトニー・ブレア元首相の姿もあった。「平和評議会」のトップはトランプ氏が務めるという。
アメリカ仲介の和平計画、今後と課題
トランプ氏が仲介したガザ和平計画によると、「ガザは、ガザ住民のための公共サービスと自治体の日常的な運営に責任を負う、専門的かつ政治色のないパレスチナ委員会の一時的な暫定統治下に置かれ」、「平和評議会が監視・監督する」。その後、改革を実施したパレスチナ自治政府(PA)に権限が移譲されるとされる。
しかし、計画の後半には難しい交渉が待ち受けている。
争点となっているのは、ガザにおけるイスラエル軍の撤退範囲と時期、ハマスの武装解除、将来的なガザ統治体制などだ。
ハマスはこれまで、パレスチナ国家が樹立されなければ武装解除には応じないと表明している。外国によるガザ統治案も拒否している。
ネタニヤフ氏は、パレスチナ自治政府が戦後のガザ統治に関与することに反発している。
第2段階に向けた交渉の開始時期について問われると、トランプ氏は「すでに始まっている」と答え、「各段階の時期はやや重なっている」のだと付け加えた。
ハマスは2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質として拘束した。これに対するイスラエルの反撃により、ガザではこれまでに少なくとも6万7000人が殺害されていると、ハマスが運営するガザ保健当局は発表している。国連などの国際機関は、この数字を信頼できるものとみなしている。
国連によると、ガザの建物の約90%が損傷または破壊されている。