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窒素吸入による死刑の差し止め請求、米最高裁など却下 死刑囚は「残酷」と訴え
ブランドン・ドレノン、BBCニュース、米ワシントン
窒素吸入による死刑は残酷で異常な刑罰だ――。米アラバマ州の死刑囚がそう主張し、連邦最高裁判所に介入を求めた。だが同裁判所は24日、死刑執行を止めないと決定した。アメリカで初となる窒素を使った死刑が、25日に執行される予定となっている。
殺人罪で有罪とされたケネス・ユージン・スミス死刑囚(58)は、マスクを通して窒素ガスを体内に最長15分間、送り込まれる方法で、刑を執行される予定となっている。
この方法をめぐってスミス死刑囚は連邦最高裁に異議を申し立てたが、同裁判所はこれを却下。死刑執行の延期の訴えも退けた。判事の中で、今回の決定に反対したと公言している人はいない。
スミス死刑囚はまた、第11巡回区連邦控訴裁判所でも別の訴訟を起こし刑の差し止めを求めたが、同裁判所も24日夜、この請求を却下した。
スミス死刑囚の弁護団は、連邦最高裁に上告するとしている。
アラバマ州当局は2年前、スミス死刑囚に対して薬物注射で死刑を執行しようとした。しかし、執行令状の期限だった午前零時までに血管を浮き上がらせることができなかったため、未執行に終わっていた。
同州は今回、窒素ガスを使った死刑執行を試みる。この方法での死刑は全米で初となる。
死刑執行の方法として窒素吸入による低酸素症の誘発を認めているのはアメリカで3州ある。アラバマ州はその一つ。
同州のスティーヴ・マーシャル司法長官は以前、この方法について、「おそらくこれまで考案された中で最も人道的な処刑方法」だとしていた。
スミス死刑囚は、伝道師の妻だったエリザベス・セネットさん(45)を殺害したとして、1989年に有罪判決を受けた2人のうちの1人。判決によると、1000ドルの報酬でセネットさんを暖炉の道具で刺し、殴打して殺した。その後、家宅侵入と強盗があったように見せかけた。
スミス死刑囚は裁判で、殺害現場にはいたが襲撃には加わっていないと主張した。
セネットさんの夫は借金にまみれ、保険金目当てに殺害を計画した。捜査が自らに迫ると自殺した。
スミス死刑囚と共に有罪とされたジョン・フォレスト・パーカー死刑囚は、2010年に死刑が執行された。
国連は執行停止を求める
スミス死刑囚に対するガス処刑をめぐっては、国連の人権高等弁務官が、拷問やその他の残虐で非人道的な処遇、または尊厳を傷つける処遇に当たる可能性があるとし、停止するよう求めている。
スミス死刑囚の弁護団は、死刑執行を複数回試みることは「残酷で異常な」刑罰を禁じた合衆国憲法修正第8条に違反するとして、連邦最高裁に法的異議を申し立てた。
弁護団はまた、窒素ガスを使う方法は「最近公表され、試されていない」もので、自分が吐いたもので窒息する恐れがあると主張。「どの州も連邦政府も試みたことがない、これまでになかった死刑執行法」だとした。
一方、州側の弁護士は裁判所に提出した書類で、スミス死刑囚は数秒で意識を失い、数分で死に至るだろうとした。
スミス死刑囚は、死刑判決を受けてから30年以上がたっている。今週初め、BBCの取材に文書で答え、死刑を待つのは「拷問」のようだとした。
アメリカでは、致死注射に使用される薬剤の入手が困難になったため、アラバマ州と他の2州は、窒素吸入による低酸素を代替の死刑執行方法として承認した経緯がある。
アラバマ州は、人口比で死刑執行率が最も高い州の一つ。現在165人の死刑囚がいる。
同州では2018年以降、薬物注射にる死刑執行に3回失敗している。内部調査では、失敗の原因の大部分は死刑囚にあるとした。