【2023年サッカー女子W杯】 スペインが初優勝 イングランドを1-0で敗る

サッカーの女子ワールドカップ(W杯)は20日、シドニーで決勝があり、スペイン(世界ランキング6位)が1-0でイングランド(同4位)を破って初優勝した。イングランドは初めてW杯決勝まで進んだが、トロフィーには手が届かなかった。

イングランドは1966年の男子チーム以来のW杯優勝を目指した。しかし、才能と創造性あふれるプレーを見せたスペインに屈した。

神経がすり減るような後半アディショナルタイムの14分過ぎ、イングランドのコーナーキックをスペインが乗り切り、終了のホイッスルが鳴り響くと、イングランドの選手たちは膝をつき涙を流した。

決勝点は前半に生まれた。イングランドのDFルーシー・ブロンズが中盤でボールを奪われた後、左サイドを駆け上がったスペインのキャプテンでDFのオルガ・カルモナがシュート。ボールはイングランドのGKメアリー・アープスの手をかすめ、ゴール右に吸い込まれた。

後半、イングランドのサリナ・ウィーグマン監督はFWのローレン・ジェイムズとクロエ・ケリーを投入。攻撃陣を手厚くして同点ゴールを目指した。それでもスペインが、主導権を握り続けた。ウィーグマン監督は前回W杯ではオランダ代表を率いて準優勝しており、これでW杯2大会連続での決勝敗退となった。

今大会のゴールデングローブ(最優秀ゴールキーパー)賞を受けたイングランドのGKアープスは、たびたび驚異的なセーブを見せた。後半、味方MFでバルセロナ所属のキーラ・ウォルシュが長時間のビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の判定でハンドを取られ、スペインにペナルティーキック(PK)のチャンスが生まれた時にも、相手FWジェニファー・エルモソ・フエンテスが蹴り込んだボールを見事に止めた。

イングランドは昨年の欧州選手権(ユーロ)を制覇。それに続くビッグタイトルの獲得を目指したが、あと一歩及ばなかった。ウィーグマン体制2年目で通算2敗目を喫した。

スペインは、選手と同国サッカー連盟の間で起こった論争を引きずりながらの大会出場となったが、ついに優勝トロフィーを手にした。

シュートがバーを直撃

両チームとも、大会を通じてパフォーマンスが向上し続け、自信に満ちた状態で決勝に臨んだ。

イングランドは上々の滑り出しを見せた。スペインの守備を試すように、上や相手の背後にボールを繰り出した。

マンチェスター・シティ所属のFWローレン・ヘンプは、ダイレクトで積極果敢なプレーを見せた。ゴール前約14メートルでチーム最大の得点機を迎えると、回転をかけたシュートを放ったが、ボールはクロスバーを直撃した。

一方、バルセロナ所属のスター選手を大勢抱えるスペインは、持ち前の質の高いサッカーを展開。イングランドのハイプレスにうまく対処した。

試合の大部分をスペインが支配。イングランドの攻撃的なフルバックのブロンズが右サイドから中に切れ込んだ際には、センターサークルで止め、生じたスペースを突いた。

スペインはそこから巧みに左に展開。FWマリア・フランチェスカ・カルデンテイ・オリバーのシンプルなパスにカルモナが走り込み、低いボールでゴールを決めた。

スペインはその後も追加点のチャンスを迎えたが、イングランドのGKアープスがシュートをブロックし続けた。

この試合を会場のスタジアム・オーストラリアで取材したBBCスポーツのエマ・サンダース記者は、スペインが勝利に値するプレーを見せたと評した。一方、イングランドには、チャンスを逃した感があったと伝えた。

イングランドはウィーグマン監督の下で数多くの勝利を重ねてきたが、大一番で最適解を見いだすことができなかった。

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騒動を経てつかんだ優勝

今大会の前、スペインは女子W杯で1勝しか上げていなかった。

昨年のユーロは、準々決勝でイングランドに1-2で逆転負け。しかしこの日はその試合とは違い、スペインは自分たちがすべきことを続け、勝利を手にした。

シドニーでは大会期間中、通りが緑色と金色で覆われた。だがこの日は、スペインとイングランドのカラーに一変した。

イングランドのファンたちはコスチュームに身を包み、スタジアムに向かう電車内で太鼓をたたき、声を合わせた。人数ではスペインのサポーターを圧倒したが、最後に歓喜したのはスペイン側だった。

試合が終わると、イングランドのブロンズはピッチに横たわって涙を流し、バルセロナのチームメートたちがカメラに向かって踊るのを見ていた。

31歳になった彼女は、サッカーでほとんどすべてを手にしてきた。だが、最も欲しいトロフィーには手が届かなかった。

一方、スペインは1年ほど前に、選手たちがホルヘ・ビルダ監督への不満などから代表入りを辞退する騒動があった。これにより、6月のチャンピオンズリーグでバルセロナの優勝に貢献したサンドラ・パノス、マピ・レオン、パトリ・ギジャロ、クラウディア・ピナを欠いた。それを考えると、この優勝は快挙だ。

スペインの女子サッカーは、バルセロナの国内リーグでの成功で、近年脚光を浴びている。今回のW杯制覇は、それをさらに大きく変化させるかもしれない。