運行システムか信号に問題か インド列車事故、死者は275人
スティク・ビスワス(デリー)、アダム・ダービン(ロンドン)

画像提供, Reuters
インド東部オディシャ(オリッサ)州で2日夜に起きた列車事故について、インドの鉄道相は4日、列車の進路を制御する「電子連動装置の変更」がおそらく原因だろうとの見方を地元メディアに示した。他方、鉄道相のもとに置かれているインド鉄道委員会は記者会見で「信号の動きが何らかの理由で阻害されたようだ」と述べた。地元当局は同日、死者数について、二重計上があったとして288人から275人に修正した。
アシュウィニ・ヴァイシュナヴ鉄道相はこの後、事故原因は特定されたと述べたものの、詳細は明らかにしなかった。
電子連動装置は、特定区間で個々の列車のルートを決め、複数の線路での安全運行を確保するためのもの。
今回の事故では、急行旅客列車が誤った信号で支線に入るよう指示を受け、支線に停車していた貨物列車に衝突。脱線した車両が、隣の線路を対向してきた別の旅客列車に衝突した。
4日の記者会見で、インド鉄道委員会のジャヤ・ヴェルマ=シンハ氏は、2本の旅客列車は青信号のもと、速度制限の時速130キロを守り、それぞれバラソール地区駅へ向かっていたと説明した。
ヴェルマ=シンハ氏によると、2本の旅客列車は本線ですれ違うはずだったものの、南へ向かう「コロマンデル急行」が支線へ進んでしまい、鉄鉱石を積んだ貨物列車に衝突。重い貨物列車はまったく動かず、急行の機関車や一部の車両が、貨物列車の上に乗り上げたという。
北へ向かっていた「ハウラ・スーパーファスト急行」は、この衝突現場の横をほとんど通過し終えていたものの、後方の2車両に、脱線した「コロマンデル急行」の車両が当たってしまったという。
ヴェルマ=シンハ氏は、「電子連動装置に問題はなく」、「信号の動きが何らかの理由で阻害されたようだ」と述べた。「手動によるものか、偶発的なものか、気候関連か、経年劣化あるいは整備不良が原因か、そうしたことはすべて事故原因調査委員会がいずれ明らかにする」という。
デリー拠点のシンクタンク「政策研究センター」の研究員でインフラに詳しいパルタ・ムコパディエイ氏はBBCに対して、列車の進行先が支線に切り替わっていたならば、本線に青信号が点灯するはずはないと話した。
「鉄道信号の電子連動装置は、フェイルセイフ(誤作動が生じた場合に安全対応するための設計)になっているはずで、これほどの失敗は前例がない」とムコパディエイ氏は話した。
死者数275人に
3本の列車がからむ衝突事故は、現地時間2日午後7時(日本時間同10時半)ごろに起きた。死者数について、地元当局は同日、死者数を275人に修正した。これまで288人と発表していたが、二重計上があったという。負傷者1175人のうち、793人は退院した。安否不明の家族をまだ探している人も複数いる。
2本の旅客列車には計約2000人の乗客が乗っていたとみられる。
オディシャ(現地語でオリッサ)州のプラディープ・ジェナ知事はBBCに対して、少なくとも187人の遺体の身元が確認できていないと話した。当局は遺体の写真を政府ウェブサイトに掲載する作業を進めており、必要に応じてDNA検査を行うという。
捜索・救出作業は3日中に終わり、現在は大破した列車を現場から撤去し、鉄道運行の再開へ向けて取り組んでいるという。
インドのナレンドラ・モディ首相は3日に事故現場と、被害者の運ばれた病院を訪れ、責任者を厳正に処罰すると述べた。
インドの鉄道網は世界最大級で、毎日数百万人が利用するものの、そのインフラの大部分が改良を必要としている。学校が休みになるこの時期には鉄道利用者が増えるため、車内は非常に混雑することがある。
インド史上最悪の列車事故は1981年にビハール州で起こった。超満員の旅客列車がサイクロンにあおられて脱線し、川に落下。少なくとも800人が亡くなった。









