イギリス地方議会選、野党が大きく躍進 

イギリスで4日に地方議会選が投開票され、複数の主要地方自治体で野党の労働党や自由民主党が与党・保守党を抑えて大きく躍進した。イギリスでは2025年1月24日より前に次の総選挙を実施する決まりのため、今回の選挙がその前触れの一つとして注目された。リシ・スーナク政権が昨年秋に発足して以来、初の全国的な選挙でもある。

ロンドン、スコットランド、ウェールズを除く230の地方自治体(行政区画、単一自治体など)で、地元議会の選挙が行われた。「カウンシル」と呼ばれるこうした行政区画の48カ所で、保守党は多数党の立場を失った。失った議席は1000以上で、自らの最悪の予想を上回った。

最大野党・労働党は、500議席以上を増やし、22カウンシルで多数党となった。この中には、南部プリマス、南東部メッドウェイ、中部ストーク・オン・トレントが含まれる。いずれも伝統的に労働党の地盤とされた地域ながら、2019年の総選挙では保守党が勝利したため、労働党が奪還できるかが注目されている。

同様に野党・自由民主党も、伝統的に保守党支持の南部ウィンザーやメイデンヘッドを含む、12カウンシルで多数党となった。

野党・緑の党は各地で計250議席を獲得。東部ミッド・サフォークでは、初めて地方議会の多数党になった。ロンドン北郊のイースト・ハートフォードシャーでも、1995年以来多数党だった保守党を抑え、緑の党が議席を大幅に増やしている。

労働党広報は、今回の選挙の結果、地方政治では今や労働党が2002年以来初めて保守党を追い越し、最大の党になったと強調。「イギリス国民は、そもそも国民の信任を得ていない首相を明確に拒絶した」と述べた。

スーナク首相は昨年10月、総選挙ではなく保守党の党首選を経て就任。今回は首相として迎える初の全国的な選挙だっただけに、首相への信任を問うものとして受け止められていた。

保守党内では、今回の大敗をスーナク首相の責任とする声も出ている。

この日の地方選はロンドン、スコットランド、ウェールズでは行われていない。BBCは、仮にイギリス全土が4日に一斉に投票し、今回の結果と同様に投票したと仮定すると、各政党の得票率は次のようになっただろうと分析している。

  • 保守党 - 26%
  • 労働党 - 35%
  • 自由民主党 - 20%
  • その他- 19%

労働党の得票率が保守党を9ポイント上回ると予想されており、これは2010年に労働党が政権を失って以来、BBCの集計では最大のリードとなる。

保守党を率いるスーナク首相は同日朝、BBCに対して、地方議会で保守党の議席が減るのは残念だと述べる一方、東部ピーターバラや中部サンドウェル、バセットローなど「主要な激戦区」で保守党が得票数を伸ばしていると期待を示した。

「有権者が労働党へ一気に向かう勢いは見受けられないし、労働党の政策綱領について有権者が盛り上がって言える様子も見えない」と、首相は述べた。

他方で、複数の保守党関係者はBBCのニック・アードリー政治担当主任編集委員に対して、これは保守党への警鐘だと懸念を示した。保守党支持者の投票控えも大きな問題だと、保守党関係者は話した。

早い時点での開票結果から、労働党が圧勝する様子はないものの、着実に議席を増やしている。労働党は、次の総選挙で政権を奪還するために必要な主要激戦区で、順調に勢いを増していると状況を歓迎した。

労働党党首のサー・キア・スターマーは5日、南東部ケント州のメッドウェイを訪れ、地元の労働党関係者と地元議会の奪還を喜んだ。

「皆さんはただ多数を獲得しただけではない。皆さんは圧勝しました」と集まった支持者をねぎらったスターマー党首は、労働党が次の総選挙の勝利に「向かっている」と述べた。

野党・自由民主党の党首、サー・エド・デイヴィーはBBCに対して、自党にとって「画期的な夜」を受けて、今の自分は「不思議の国のアリス」に登場するチェシャ猫のような満面の笑みを浮かべていると話した。

新たに多数党となったウィンザーでBBCの取材に応じたデイヴィー党首は、「今年の地方選で自由民主党は大勝した。(チャールズ3世の)戴冠式記念コンサートのためにケイティー・ペリーとライオネル・リッチーがウィンザー城に入るが、その時点でウィンザーは自由民主党の新人議員が3人もいる地区になっている。誇らしくて仕方がない」」と話した。

今回の選挙は、ロンドン、スコットランド、ウェールズでは行われていない。北アイルランドの地方議会選は、6日の戴冠式を避けて18日に延期された。イングランドで選挙の対象となっているのは主に、大都市ではない市町村レベルの「ディストリクト」の議会で、ごみの回収や公園、公営住宅や都市計画などを担当する。そのほか、州と市町村の自治体機能を統一した「ユニタリー(単一自治体)」や、都市の議会も一部改選対象となっている。