ボルソナロ氏、沈黙破るも敗北は認めず ブラジル大統領選

ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は1日、大統領選の決選投票以降で初めて沈黙を破り、声明を発表した。ただ、敗北は認めなかった。

極右のボルソナロ氏は、先月30日にあった決選投票の結果発表から44時間たって、ようやく公の場に姿を現した。わずか2分間、声明を発表し、記者たちの質問には一切答えなかった。

声明で同氏は、支持票を投じた人たちへの感謝を表明。左派のルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ元大統領に敗れたことは認めなかったが、一部で懸念されていたように開票結果に異議を唱えることもしなかった。

このあと、ボルソナロ政権のシロ・ノゲイラ官房長官は、権力の「移行プロセス」が始まると述べた。

ブラジル最高裁も声明を発表。ボルソナロ氏について、政権移行を許可することで選挙結果を認めたとの見方を示した。

<関連記事>

ボルソナロ氏は選挙前、自分を政権の座から降ろせるのは「神だけだ」などと闘争的な発言をしてきた。投票制度への不信感も、根拠を示さずに繰り返し示していた。

そのため決選投票後は、同氏の公の場への登場を待つ緊張した空気が流れていた。

決選投票では、ルラ氏が有効票の50.9%、ボルソナロ氏は49.1%を獲得。僅差でルラ氏が勝利した。

ルラ氏に一切触れず

ボルソナロ氏はこの日の声明で、「私たちの夢はこれまで通り生き続ける」と支持者に向けて述べた。

また、「神、祖国、家族、自由」が大事だと改めて主張。ブラジル国旗に記されている言葉「秩序と進歩」のため、努力を続けると訴えた。

大統領選で当選を決めた宿敵のルラ元大統領については、一切言及しなかった。ボルソナロ氏はブラジル大統領選の慣例に反し、まだ勝者に電話をかけていない。

ボルソナロ氏の負けを受け入れない強硬姿勢の支持者らは、開票結果が発表された直後から2州を除くすべての州で、道路を何百カ所も封鎖している。

ボルソナロ氏は声明で、こうした動きを「進行中の大衆運動」だと表現。「選挙プロセスに対する憤りと不公平感が結集したもの」だと述べた。

また、「平和的なデモ」は常に歓迎するとした一方で、「私たちの方法は、左派が用いるものと同じではだめだ。左派のやり方は、土地の侵略、財産の軽視、行き来する権利の阻害など、常に国民に害を及ぼす」とした。

ブラジル最高裁のアレクサンドル・デ・モラエス長官は1日、道路の封鎖は「国家の安全に対するリスク」をもたらすと述べ、排除を命じた。

しかし、警察は封鎖を解くのに苦労しており、まだ250カ所以上で実施されている。封鎖によって大きな混乱が生じ、食料の供給網に影響が及んでいる。

ルラ氏の当選への祝福は、世界各国から続々と寄せられた。アメリカのジョー・バイデン大統領は、「自由、公正かつ信頼できる選挙に従った」結果だったとした。

ボルソナロ氏は普段、ソーシャルメディアを多用しているが、決選投票後は沈黙し、表舞台に姿を見せてこなかった。しかし、側近たちでさえルラ氏に祝意を表しており、ボルソナロ氏は孤立を深めていると見られ始めている。

議会下院の有力者であるアルトゥール・リラ議長は、「投票によって示された多数派の決意は決して争うことができない」と発言。強いメッセージとなった。

だが、ボルソナロ氏の支持者の一部は、同氏の沈黙に勇気づけられているようにみえる。

リオデジャネイロで抗議していた男性は、「私たちは獲得したものを失うことを受け入れない。国旗に書かれている『秩序と進歩』が欲しいのだ」とAFP通信の取材で主張。「このまま状況を受け入れることはしない」と付け加えた。