トランプ氏宅から押収の機密文書、隠されていた可能性=米司法省

米司法省は、フロリダ州のドナルド・トランプ前大統領の自宅から押収された書類が、連邦捜査局(FBI)の捜索を妨害する目的で隠されていた可能性が高いとみている。8月30日に公表された裁判書類で判明した。

FBIは8月初め、トランプ氏の私邸兼リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」を家宅捜索した際、機密文書を含む書類などを押収。これに対してトランプ氏は、捜査の差し止めを求めて、司法省を提訴している。

この裁判の中で司法省は、トランプ氏の機密文書の取り扱いについて、捜索を「妨害するために対策が取られていた可能性が高い」とする文書を提出した。

トランプ氏は、不正を否定している。

アメリカの大統領は退任時に、在任中のすべての政府文書や電子メールなどを、国立公文書館に移す決まりになっている。FBIは、トランプ氏が2021年1月に退任した際にこうした記録を不適切に扱い、ホワイトハウスからマール・ア・ラーゴに移したかどうか捜査している。

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8月30日に公表された裁判書類では、司法省がトランプ氏から機密文書を取り返そうとしたこれまでの取り組みについて、同省防諜部門の責任者ジェイ・ブラット氏が明確に記している。

司法省のそうした動きをきっかけに、国立公文書館は今年1月、「マール・ア・ラーゴ」を訪れ、政府資料15箱分を回収。これには「高度な機密指定をされた報告書」が含まれており、「他の記録と混ざって」いたり、中にはトランプ氏の「手書きのメモ」もあったという。

司法省の裁判書類には、捜索時に撮影された色分けされた書類の写真も含まれていた。じゅうたんの上に広げられたさまざまな書類の中には「機密」や「最高機密」という文字も見える。

トランプ氏は31日、この写真について、自ら立ち上げたソーシャルメディア「Truth Social」で、FBI捜査官が「床一面に無造作に書類を投げ捨てた(おそらく私がやったと見せかけたかったのだろう!)」と主張した。

「それから、公表するために写真を撮り始めた」

捜索を「はっきり禁止された」

司法省とFBIは、国立公文書館の依頼を受けて捜査を開始。その結果、「マール・ア・ラーゴ」にはなお、機密文書の入った箱が「何十箱」も残っている証拠を見つけたという。

6月3日には、司法省の弁護士とFBI捜査員3人が「マール・ア・ラーゴ」を訪れ、物品を押収した。トランプ氏の弁護士によると、トランプ氏は現場を訪れ、「何かいるものがあったら、何でも知らせてくれ」と述べたという。

しかし今回の裁判書類によると、司法関係者らはトランプ氏の代理人らによって、邸宅の倉庫での箱の捜索を「はっきり禁止された」という。

ブラット氏はこの点を取り上げ、「マール・ア・ラーゴ」に機密文書が残っていないことを「政府が確認する機会がなかった」とした。

また、書類が保管場所から「隠され、持ち出された可能性が高い」ことや、捜索を妨害するための「対策がなされた可能性が高い」ことを示す証拠も発見されたと、当局は述べている。

数時間のうちに大量の文書を発見

FBIは8月に再び「マール・ア・ラーゴ」を捜索し、100点以上の機密文書を発見した。トランプ氏のチームが以前行ったと主張する「丹念な捜索」で見つかった機密文書の2倍の量が、「数時間のうちに」見つかったと、司法省は説明している。

ブラット氏はこの件について、「この問題でどれだけ協力するつもりなのか疑問を投げかけるものだ」と述べた。

また、捜索に当たった操作員の中には、「特定の文書を確認する前に追加の許可を要求された」者もいたと付け加えた。

この当時、トランプ氏は機密文書の不当な取り扱いに関する報道を「フェイクニュース」だと否定していた。

その上で、自宅から押収された物品リストについて訴訟を起こしたほか、捜索令状の対象ではない物品の返還を政府に求めている。

またトランプ氏の弁護団は、政府の最高機密文書などがトランプ邸で発見されたことについて、大統領特権の対象に当たるかどうかなどを判断するため、「スペシャル・マスター」と呼ばれる特任弁護士の任命を求めている。大統領特権の対象だと認められれば、公開が免除される場合がある。

しかし、今回の裁判書類は、捜索令状に基づいて押収された大統領の記録はすべて「前大統領ではなくアメリカ合衆国に属するもの」だと指摘した。

メディアがさらなる情報開示を要求

31日には、複数のメディア企業が共同で、「マール・ア・ラーゴ」で押収された政府資料について、さらなる詳細を開示するよう裁判所に求めた。

フロリダ州の連邦地裁はすでに、FBIが令状請求時に捜索の必要性を説明するために提出した宣誓供述書を部分公開するよう命令している。

しかしメディア企業は、押収物の詳細な受領書は「マール・ア・ラーゴで何が起きたかを国民がさらに理解するための中核であり(中略)捜索を実行する際の政府の行動にも大きな光を当てることになる」と主張している。

トランプ氏と政府文書 捜査の経緯

2022年1月:米国立公文書館は「マール・ア・ラーゴ」から政府資料15箱分を回収。トランプ氏の大統領退任時に政権から提出された文書の一部は、破られていたと明らかにした。

2月:国立公文書館が「マール・ア・ラーゴ」から回収した政府資料の中に、機密文書も含まれていたため、公文書館は司法省に捜査を依頼したと報道。

4月:なぜ政府の機密文書が「マール・ア・ラーゴ」にあったのか、FBIが捜査に着手と報道。

6月3日:司法省幹部とFBI捜査員3人が「マール・ア・ラーゴ」を訪れ、地下室に置かれているものを確認。報道によると、トランプ氏は現場を訪れ、司法省関係者らに「何かいるものがあったら、何でも知らせてくれ」とあいさつ。

6月8日:政府資料が保管されている場所に簡単に出入りできないよう、FBIがトランプ氏の側近に手紙で、鍵の強化を依頼したと報道。トランプ氏は、ただちにこれに応じたと発言。

6月22日:司法省がトランプ・オーガナイゼーションに対して、「マール・ア・ラーゴ」の防犯カメラ映像の提出を正式に要求と報道。

8月8日:FBIが「マール・ア・ラーゴ」に対する捜索差押許可状を執行し、約10箱分の資料を運び出す。

8月12日:捜索令状と押収品リストが開示される。「最高機密」指定のものを含む機密書類11組がその中に含まれていたことが判明。

8月25日: 州連邦地裁判事の命令により、家宅捜索の令状請求時に、その必要性を説明するためにFBIが提出した宣誓供述書が部分開示された。