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ウクライナのザポリッジャ原発に再び砲撃 「大惨事につながる」と国連総長
ウクライナ南東部にあるザポリッジャ原発に対して再び砲撃があったとの報告があり、ウクライナとロシアの双方は11日、相手が関与しているとして互いを非難した。
両国はそれぞれ、欧州最大のザポリッジャ原発の事務所と消防署に10発の砲撃があったと主張した。
ウクライナ原子力発電公社エネルゴアトムは11日に声明で、「ロシアの侵略者が再びザポリッジャ原発と原発施設周辺を砲撃した」と述べた。
声明によると、溶接エリア近くの管理事務所が攻撃され、いくつかの放射線センサーが破損した。近くの草が燃える小さな火災が発生したが、負傷者はいなかったという。
また、原発近くの消防署も標的にされたと付け加えた。
この砲撃により、勤務シフトを終えた原発従業員は交代できず、残業しなければならなかったという。
ただ、現在原発の状況はコントロールされているとした。
一方のロシア側も同様の攻撃があったとの声明を発表。砲撃を行ったのはウクライナだと非難し、ウクライナ軍が多連装ロケットシステムと重砲を使用していると主張した。
ウクライナとロシアの主張が事実かどうか独自に検証できていない。
先週も砲撃
ザポリッジャ原発とその周辺地域では先週も砲撃があり、ロシアとウクライナの双方が非難し合っている。
ウクライナ側は、ウクライナ軍が報復する可能性が低いことを知りながら、ロシアが原発を軍事拠点化し、攻撃を仕掛けているとしている。
ロシア政府はこうした主張を否定している。
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IAEAの視察求める
国連安全保障理事会は同日、ザポリッジャ原発の状況について議論する緊急会合を開催。国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長はIAEAによる同原発の視察を認めるよう、改めて呼びかけた。
「これは深刻な時間、重大な時間であり、IAEAは一刻も早くザポリッジャへのミッション遂行を許可されなければならない」
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は先に、「同地域の安全を確保するために、非武装化の安全な境界線について技術的なレベルでの早急な合意が必要」だとした。
また、「大惨事につながる」恐れがあると警告した。
主要7カ国(G7)外相は10日、ロシアは直ちに原発の管理権をウクライナ政府に返還する必要があると述べた。
こうした中、アメリカは原発の周辺に非武装地帯を設けるよう求めた。米国務省の報道官は「原子力発電所の近くで戦うのは危険で無責任な行為だ」と述べた。
「世界最悪の原発事故」の恐れ
ウクライナはロシアが世界で最悪の原発事故を誘発する恐れがあると警告している。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「ロシアは世界最悪の原発事故を引き起こすかもしれない。(中略)チョルノービリ原発事故を超える事故を」と警告した。首都キーウの北に位置するチョルノービリ原発では1986年、原子炉が爆発し、世界最悪の原発事故が発生した。
ゼレンスキー氏はまた、そうした事故は、ロシアが実際の核攻撃を行わずに核兵器を使用することと等しいと指摘した。さらに、ロシアがザポリッジャから完全に撤退することでしか、欧州全体の核の安全の回復は保証されないとした。
ザポリッジャ原発には加圧水型原子炉6基があり、放射性廃棄物も貯蔵されている。
同原発では3月初旬、ロシア軍の砲撃を受けて火災が発生。鎮火後にロシア軍は原発を制圧した。制圧後もウクライナ人従業員をとどまらせ、原発の稼働を続けている。
今月8日には、ロシア軍が同原発を軍事基地に転用していると、ウクライナ原発公社エネルゴアトムのトップが指摘した。
これまでのところ、IAEAによる視察は実現していない。
ウクライナ国家原子力規制検査局の元局長、フルィホーリイ・プラシュコフ氏は、ロシアがザポリッジャ原発を支配している限り、「大きな」リスクがあると指摘する。
また、ロシアがザポリッジャ原発から再び自国の送電網へと電力を送ろうとしているのなら、完了までに「2~3カ月」はかかると、プラシュコフ氏は認めている。
ザポリッジャ地域でも住民投票準備か
ドニプロ川を挟んでザポリッジャ原発の対岸にあるドニプロペトロウシク州ニコポリでは、ここ数週間、激しい砲撃が続いている。一晩で120発のロケット弾が飛来したとの報告もある。
こうしたロケット弾は原発のある南東部エネルホダルの方向から発射されている。
エネルホダルの住民によると、商店や薬局の価格はウクライナの管理下にある地域よりも4倍も高い。医師も不足していて、ほとんどのATMが閉まっているという。
ウクライナは、ロシアが占領する地域への砲撃を開始し、地元住民に対してうその物語を作り出そうとしていることを懸念している。ロシア側は、「ウクライナがあなたたちを攻撃している。だからロシアに加わるよう投票した方がいい。そうすれば我々がここにとどまってあなたたちを守れる」などと説明しているという。
ロシア政府が任命したサポリッジャ地域の政治家たちは、住民投票をすぐに実施するよう命令書に署名したばかり。
ロシアは2014年にウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合する際などにも、ロシアへの編入の是非を問う「見せかけの」住民投票を実施した。
「銃口を突きつけられている」と原発スタッフ
ザポリッジャ原発のスタッフは、原発を軍事基地として使用しているロシア部隊に銃口を突きつけられているとBBCに語った。
原発スタッフ2人がBBCの取材に応じ、日々感じている誘拐の恐れや、「より広範な放射能汚染」や「核の大惨事」が起きることへの恐怖について語った。
スヴィトラナさんは「仕事をする日はストレスの連続」だと、テキストメッセージで話した。スヴィトラナさんと同僚のミコラさんは現在、ロシアのシムカードしか使用できず、電波も非常に限られた状態という。安全のため2人の実名は伏せている。
「以前のようには働けない」、「この1週間は職場に行くことさえできなかった。危険なので」と、スヴィトラナさんは話した。
6日には「窒素・酸素ステーションが砲撃され、火災が発生した。そこで働いていた人たちは奇跡的に助かった」という。
原発で長年働いているというスヴィトラナさんは、原発の近くに毎日、砲弾が着弾していると証言した。
「心理的につらい状況」で、「(ロシアの)兵士が武器を持って至る所を歩いていて、実際にみんな銃口を突きつけられている」という。
ロシア側の人質だと訴え
ロシア軍は原発に約500人の兵士を駐留させていると非難されている。直近の映像では、軍用車両が原発の敷地内を走行していることが示されている。
スヴィトラナさんは、原発が軍事基地として使われていると確信しているという。
「毎日、軍用車両で行ったり来たりしている」
「ウクライナ軍が攻撃できないよう、原発のすぐそばに軍装備品を配置していた」
ミコラさんは、「スタッフはいまや、ロシア側の人質だ」とテキストメッセージで訴えた。
「彼ら(ロシア)はインターネットを止め、固定電話だけを残した。食事がとれる食堂は1つだけ」
「いまでは、勤務を終えたばかりのスタッフが警備ゲートで誘拐されるケースが増えている」
スヴィトラナさんとミコラさんは、至る所にロシア兵が出したごみが散乱しているが、原発スタッフはまだ原子炉を適切に監視できているとしている。