イギリスのEU担当相が辞任、新型ウイルス対策で相違か

イギリスのデイヴィッド・フロスト欧州連合(EU)担当国務相が18日、辞任した。フロスト卿は過去2年半にわたり、ブレグジット(イギリスのEU離脱)のイギリス側の交渉人を務め、離脱協定や北アイルランド議定書の策定に携わっていた。

辞任をいち早く伝えた英タブロイド紙メイル・オン・サンデーによると、フロスト卿は政府の新型コロナウイルス対策に異議を唱え、1週間前に辞表を提出していたという。

ボリス・ジョンソン首相宛ての書簡でフロスト卿は、「ブレグジットは今や無事に確保された」ものの、「現在の方向性を懸念している」と述べている。

フロスト卿はさらに、「たどり着くべき場所へできるだけ速やかに移動するよう願っている。規制の軽い、税率の低い、起業家精神にあふれる経済、最新科学と経済的変化委の最先端にいる国へ」と述べた。

また、今年7月にロックダウンを解除したことに言及し、「当時の措置は不可逆ではなかった」と指摘。「イギリスがすぐに元の軌道に戻るいことを期待する。他国で行われているような強制的な規制の誘惑に負けないよう願っている」と述べた。

イギリス議会は先に、新型ウイルスの新たな変異株「オミクロン」の流行を受け、イングランドでの新型コロナウイルス対策案を可決した。

しかし、ワクチン接種証明に関する投票では、与党・保守党から99人が反対票を投じ、ジョンソン政権下では最大の造反となった。ただし、最大野党・労働党から支持を得たため、政府案は可決された。

保守党は16日にも、下院の補選で200年近く維持してきた議席を野党・自由民主党に奪われている。党内からは、フロスト卿の辞任も、こうしたジョンソン政権への反発の一環だとする意見も出ている。

ジョンソン首相はフロスト卿について、「政府とイギリスに対する歴史的な献身を非常に誇りに思う」と述べている。

ブレグジット後の交渉はどうなっているのか

フロスト卿は最近まで、ブレグジット後に詳細を取り決めることが決まっていたさまざまな協定について、EU側のマロス・セフコヴィチ欧州副委員長と厳しい交渉を続けていた。

これには2019年に合意した、アイルランドと英・北アイルランド間の通商について定めた「北アイルランド議定書」の一部改定も含まれている。

北アイルランド議定書では、北アイルランドとEU間の通商に支障が出ないよう税関など国境管理措置を設けないと定められている。しかしこれにより、北アイルランドと残りのイギリスとの間に税関が必要になっていた。イギリスはこれを不服として議定書の改定を模索している。

今週に入りEU側は、北アイルランドと残りのイギリスとの間で、医薬品の供給に違いが出ないようにすると発表した。

しかしフロスト卿は17日の声明で、棚上げになっていた問題に進展が見られたものの、「我々が望むほど大きな、あるいは早い進展ではない」と不満を示していた。

BBCのジェシカ・パーカー・ブリュッセル特派員によると、フロスト卿はEU本部において好戦的な交渉人だとみなされていた。しかし数週間前からイギリスの交渉態度が前より柔らかくなり、英政府とフロスト卿との姿勢に温度差が見らるようになっていたという。

フロスト卿がEU担当相を辞任することで、北アイルランド議定書に関してはEU側の立場が強くなるのではないかと、パーカー記者は解説している。