イスラエル主要都市にロケット弾130発 ハマス「空爆に報復」

パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスは11日、イスラエルの主要都市テルアヴィヴに向けてロケット弾130発を発射したと明らかにした。この攻撃の前には、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区を空爆し、高層ビルが崩壊していた。

ハマスは「敵が高層住宅を攻撃した」ことへの報復として、テルアヴィヴと周辺地域にロケット弾を発射したと述べた。

同市で撮影された映像では、ロケット弾が夜空を飛び、イスラエル軍の迎撃弾がいくつかに命中した様子が確認できる。

イスラエルとパレスチナはこのところ、聖地エルサレムでの衝突を経て、対立を激化させている。

一連の応酬での死者は少なくとも31人に上っており、近年で最悪の被害となっている。

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イスラエル当局は、テルアヴィヴ近郊のリション・レジオンで、50歳の女性がロケット弾により死亡したと明らかにした。

イスラエル警察のミッキー・ローゼンフェルド報道官は、テルアヴィヴ近郊のホロンでロケット弾が無人のバスに当たったと、AFP通信に話した。5歳の少女と、50歳と30歳の女性2人がけがをしたという。

ロイター通信によると、テルアヴィヴ市内ではサイレンが鳴り響く中、歩行者が避難場所へと走ったり、レストランの客が続々と店外へと出たりした。道路に伏せる人もいた。

ベングリオン空港は航空機の発着を停止した。エイラートとアシュケロンを結ぶ燃料パイプラインがロケット弾の被害を受けた。

ガザでは高層ビルが崩壊

ロイター通信によると、イスラエル軍は11日、ガザ地区の13階建てのビルを空爆した。同ビルや付近の住民は、爆撃の1時間半前に避難勧告を受けていた。

「ハナディ・タワー」という名のこのビルには、ハマスの事務所も入っていたという。

イスラエル軍は、これまでのパレスチナ側からのロケット弾攻撃に対する報復として、ガザ地区の武装勢力を狙った攻撃を実施していると説明している。

ハナディ・タワーの被害者数は、崩壊から数時間たった時点でもまだ報告されていない。

別の高層ビルもイスラエル軍によって破壊されたとの報道も出ている。事前に避難勧告が出ていたという。

ロードでは非常事態宣言

こうした中、テルアヴィヴに近いロードでは、アラブ系市民らが警察に投石したり、車両に火を放ったりして暴動が発生。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は11日夜、同市に非常事態宣言を出した。少なくとも12人が負傷したと報じられており、市長は内戦状態だと述べた。

現地メディアによると、ユダヤ教の礼拝所シナゴーグや商店なども放火された。ロイター通信は、ユダヤ人がアラブ系住民の車に石を投げたとの報告が上がっているとした。

地元紙タイムズ・オブ・イスラエルによると、政府がアラブ系住民が関係した問題で非常事態宣言を出すのは、1966年以来だという。

イスラエル南部でも

11日にはイスラエル南部のアシュケロンでも、60代と80代の女性2人がロケット弾による攻撃で死亡した。救急当局によると、別の1人が重傷を負ったという。

ハマスは、アシュケロンと、隣接するアシュドッドに向けて、5分間でロケット弾137発を発射したと述べた。また、衝突が続いた場合のために、「多くの衝撃」を用意していると警告した。

この攻撃で、イスラエルの病院では少なくとも95人が治療を受けた。

イスラエル軍はこれまで、同国に向けて発射されたロケット弾の90%を、ミサイル防衛システム「アイアン・ドーム」で迎撃したと発表している。

また、ガザ地区に対する攻撃について、イスラエルとの国境付近に掘られた襲撃用のトンネル2本を狙ったと説明した。

イスラエル軍の空爆では、ハマスのミサイル特別部隊のトップや、対戦車ミサイル部隊の司令官が死亡している。

ガザ地区でハマスが管轄する保健省によると、イスラエル軍の空爆で、子ども10人を含む28人以上が死亡、150人以上が負傷している。

一方、イスラエル人居住区ではこれまでに3人の死亡が報告された。

イスラエルのベニー・ガンツ国防相は、空爆は「始まったばかりだ」と発言。一方、ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏はテレビ演説で、「(イスラエルが)対立の激化を望むなら、私たちは準備ができている。もうやめたいなら、その準備もある」と述べた。

国際社会がはたらきかけ

こうした状況を受け、国際社会は双方に対し、激化している攻撃をやめるよう強く求めている。

外交筋によると、国連安全保障理事会は12日に非公式会合を開き、対応を協議するという。

パレスチナ側はこれまで、エルサレムなどに向けて数百発のロケット弾を発射している。

イスラエルのネタニヤフ首相は、エルサレムへのロケット弾の発射は何年もなかったとし、ハマスは「一線を越えた」と述べている。

一方のハマスは、エルサレム旧市街にある「アルアクサ・モスク」をイスラエルの「侵害とテロリズム」から守るため、行動していると主張している。

イスラム教とユダヤ教の聖地となっている同モスク付近では10日、イスラエル警察とパレスチナ人が衝突し、数百人が負傷した。

エルサレムでの衝突の激化は2017年以来だ。背景には、東エルサレムのユダヤ人入植地からパレスチナ人を家族ごと追い出す動きがあり、パレスチナ人が怒りを強めていることがある。抗議するパレスチナ人とイスラエル警察は1カ月にわたって対立を続けており、緊張が高まっていた。