You’re viewing a text-only version of this website that uses less data. View the main version of the website including all images and videos.
英のポークパイはタイでも買えると英首相、いいえ輸出してませんと業界団体
イギリスで広く愛される伝統食の「メルトン・モーブリー・ポークパイ」が、輸出産業をめぐる政治論争に巻き込まれている。
ボリス・ジョンソン英首相は26日、英米通商協定についての発言で、メルトン・モーブリー・ポークパイはタイやアイスランドには輸出されているが、規制のせいでアメリカには輸出できないと話した。
しかし、これにメルトン・モーブリー・ポークパイ協会が反発。タイやアイスランドには輸出したことがないと指摘した。これに首相官邸が反論したものの、引き合いに出された食品メーカーがさらに異論を唱える事態となっている。
メルトン・モーブリー・ポークパイは、フランスのシャンパンやイタリアのパルミジャーノ・レッジャーノと同様、欧州連合(EU)の原産地名称保護制度で守られている料理。
イングランド中部レスターシャーのメルトン・モーブリーにある工場で、伝統的なレシピで作られたポークパイしかこの名前をつけることができない。
<関連記事>
ジョンソン氏の発言と協会の見解
ジョンソン首相の発言は、仏ビアリッツで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、イギリスのEU離脱後の英米通商協定について話した時のもの。
イギリスからの輸出規制を撤廃することで「アメリカ市場をこじ開けたい」と話したジョンソン氏は、規制の一例として、「タイやアイスランドで売られているメルトン・モーブリー・ポークパイは現在、何がしかの食品医薬品当局の規制によってアメリカ市場には参入できない」と述べた。
これに異議を唱えたのが、メーカーを取りまとめるメルトン・モーブリー・ポークパイ協会のマシュー・オキャラハン会長だった。
BBCのラジオ番組でジョンソン首相の発言について聞かれたオキャラハン会長は、「実は違う。(中略)私たちは実際、タイやアイスランドには輸出していない。私が知っている限りは」と述べた。
一方で、「『アイスランド』(イギリスの冷凍食品専門スーパー)では確実に売っている」と話した。
その上で、冷凍した状態ならばアメリカやオーストラリアにもメルトン・モーブリー・ポークパイを輸出できる可能性はあると述べた。
「メルトン・モーブリー・ポークパイは新鮮な肉を使った製品。アメリカの食品医薬品庁(FDA)も各国と同様、輸入される肉製品については非常に注意しているし、輸出するには全ての規制をクリアしなくてはならない」
「(メルトン・モーブリー・ポークパイの)消費期限は短いため、輸出することが経済的に見合うとは言いがたい」
首相官邸が反論
首相官邸はオキャラハン会長の指摘の後、メルトン・モーブリー・ポークパイがタイとアイスランドに輸出されているというジョンソン首相の発言は正しいと反論した。
ジョンソン氏の発言は、国際貿易省が出してきた、ウォーカー・アンド・サンという食品メーカーがアイスランドとタイ、シンガポール、カリブ海諸国に少量のメルトン・モーブリー・ポークパイを輸出していたという記録によるものだという。
首相官邸は、この情報はウォーカー・アンド・サンが提出した書類によるものだと説明している。
メーカーの主張は?
しかし、ウォーカー・アンド・サンはこれに同意しなかった。BBCの取材に対し同社の広報担当者は、メルトン・モーブリー・ポークパイはもう輸出しておらず、「現在はイギリス市場に集中している」と語った。
ウォーカー・アンド・サンは、イギリスに流通しているメルトン・モーブリー・ポークパイの80%を製造している。
広報担当者によると、同社は「一時期」、「ごく少量」をシンガポールに輸出していたものの、「少なくともここ2年」は輸出を取りやめているという。
かつて輸出していたものは冷凍で、現地で焼きことになっていた。
かつてメルトン・モーブリー・ポークパイを売っていたというシンガポールの小売店によると、流通業者が取り扱いをやめたのは「規制のせいではなく、単純に需要を反映した結果」だという。
ジョンソン首相と伝統料理の輸出事情
ジョンソン氏は今年前半の英保守党党首選でも、伝統料理についての発言で物議をかもした。
ジョンソン氏はある演説でマン島のニシンのくん製を掲げ、EUのせいで輸出時に本来は不要な冷凍処理をしていると語った。
しかし、輸出品に対するEUの規制は鮮魚に限定され、くん製には適用されない。加工食品に対するルールは、各輸出元国が設定している。