トランプ氏の元選対本部長、刑期追加で実刑7年半に

Paul Manafort (file photo)

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画像説明, ポール・マナフォート受刑者(資料写真)

ドナルド・トランプ米大統領の元選挙対策本部長ですでに3年11カ月の実刑判決を受けていたポール・マナフォート受刑者(69)は13日、共謀罪などでさらに実刑を言い渡された。ニューヨーク州の地検は併せて、連邦法をめぐるこの裁判とは別に、住宅ローン詐欺など州法違反の罪状16件でマナフォート受刑者を起訴した。

ワシントン連邦地裁のエイミー・バーマン・ジャクソン裁判長は、アメリカに対する共謀と司法妨害の共謀の罪2件について、計6年1カ月の禁錮刑を言い渡した。受刑者は昨年9月に罪状2件について、有罪を認めている。

受刑者は今月7日に別の詐欺罪などで実刑判決を受けており、今回の量刑のうち2年6カ月はそれと同時に服役することになるため、通算の刑期は計7年半になる。

受刑者の一連の有罪判決は、2016年米大統領選のロシア介入疑惑を調べるロバート・ムラー特別検察官の捜査を発端にしたものだが、罪状はいずれも大統領選には直接関係なく、ウクライナの親ロシア派政治家のために受刑者が行ったコンサルタント業務に関するもの。

量刑言い渡しに先駆けてジャクソン裁判長は、マナフォート受刑者がいかにうそと詐欺を繰り返してきたか強調し、「被告人は一番の国民の敵ではない」ものの「被害者でもない」と述べた。

この日も車椅子で出廷した受刑者は、「自分のしたことと、今日ここに至った自分の活動すべてを、申し訳ないと思っている」、「この裁判は私から何もかも奪った。不動産も現金も生命保険も、子供や孫のための信託預金も、そのほかの全ても」と陳述した。

車椅子を使う理由について弁護団は以前、長引く勾留のせいで痛風の症状が悪化し、足が痛むからだと説明していた。

ワシントン連邦地裁が審理する罪状2件について、受刑者は昨年9月に有罪を認め、減刑を求めてムラー氏への捜査協力に合意した。しかしワシントン連邦地裁は2月13日、受刑者が検察に繰り返し偽証したため、司法取引の条件に違反したと判断していた。

受刑者は2017年10月に、ウクライナに関する5500万ドル分の資金洗浄罪などでムラー特別検察官に正式起訴されたほか、昨年2月に複数の脱税や銀行詐欺などの罪でヴァージニア州の連邦地裁に追起訴された。当初は身柄は拘束されていなかったものの、昨年6月からは証人買収などの疑いで拘置所の独房に勾留されていた。

その後昨年8月に、大統領選とは直接関係のないウクライナでの政治コンサルタント活動をめぐり、脱税や銀行詐欺などの罪状計8件について、有罪評決を受け、今月初めに実刑判決を受けていた。

また一連の連邦法違反事件とは別に、ニューヨーク州マンハッタン地区検察は13日、ニューヨーク市内の不動産についてうそをついて住宅ローンを違法申請したなどの罪状16件で、マナフォート受刑者を起訴した。米報道によると、有罪になれば8年から25年の実刑判決を受ける可能性がある。

Republican presidential nominee Donald Trump gives a thumbs up as his campaign manager Paul Manafort (C) and daughter Ivanka (R) look on at the Republican National Convention in Cleveland, Ohio, in July 2016

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画像説明, 2016年7月の共和党全国党大会でトランプ氏と共に壇上に上がったマナフォート選対本部長(当時)

大統領は恩赦するのか

トランプ大統領は、連邦法違反に対する有罪判決については、元側近を恩赦する権限がある。一方で、ニューヨークの州法違反で有罪になった場合には、大統領権限は及ばない。

ワシントン連邦地裁による13日の量刑言い渡しを受けて、トランプ氏は記者団に、「ポール・マナフォートをとても気の毒に思っているのは確かだ」と述べた。

恩赦するつもりがあるか聞かれると、「現時点ではそのことについて、何も考えていない。今の時点でそのことについて考えていない」と答えた。

Roger, centre, pictured in 1985 with Paul Manafort, left, and Lee Atwater

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画像説明, (写真左から)1985年当時のマナフォート受刑者とストーン被告。右はレーガン、父ブッシュ両大統領の政治顧問だった故リー・アトウォーター元共和党委員長

マナフォート受刑者は、米共和党の大物や外国要人のためにロビイストやフィクサーとして長年働いてきた。2016年大統領選では6月から8月にかけて、トランプ陣営の選対本部長を務めたものの、ウクライナで親ロシア派勢力とのつながりを批判され、辞任した。

選対本部長だった2016年6月には、ニューヨークのトランプ・タワーでトランプ氏の長男など選対幹部が、ヒラリー・クリントン氏に不利な情報を提供すると申し出たロシア人弁護士と会談した際、同席していた。

ムラー特別検察官はロシア疑惑捜査において、トランプ氏の側近の中で最初にマナフォート受刑者を正式起訴した。今年1月には、トランプ氏の長年の盟友で共和党ロビイストのロジャー・ストーン被告が、偽証罪などで起訴された

ムラー特別検察官は、トランプ大統領が2017年5月にジェイムズ・コーミー前連邦捜査局(FBI)長官を電撃解任した後に、司法副長官にロシア疑惑捜査を指揮するよう任命された。コーミー氏は自分の解任について、トランプ政権発足前にロシア大使と接触していたマイケル・フリン前大統領補佐官(FBIへの偽証罪で有罪を認める)について、トランプ氏から捜査打ち切りを指示された後、解任されたと議会証言している。

トランプ氏はロシア疑惑捜査を「魔女狩り」と呼び、自分の陣営とロシア当局との結託はなかったと一貫して主張している。ロシア政府は、米大統領選への介入を否定している。

これまでにムラー特別検察官の捜査で、トランプ陣営関係者5人が起訴され、ストーン被告以外の4人は罪を認めている。