【解説】 ジョンソン英首相、重要閣僚辞任でも延命できるのか

クリス・メイソン、政治編集長、BBCニュース

パニックの気配がたちこめていた。

首相官邸から私に、ボリス・ジョンソン首相がインタビュー応じると、直前になって連絡があった。

きょう5日の夕方5時、場所は議会下院の首相のオフィス。

政治家としてのキャリアを示す記念品があちこちにある。オリンピックの旗、彼の名前が行き先になっているプラスチック製のバス停の模型。

額に入れられた新聞の一面は、選挙での彼の勝利を伝えている。

しかし、ジョンソン氏は敗北の時を迎えたのだろうか。

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首相は、自分の代弁者たちがもう何日も真実を語っていないという、厄介な真実に、面と向かうつもりでいた。

私が去るとき、彼の最も忠実な閣僚の1人が、階段を別の方向へと上っていた。

ジョンソン氏を保守党のリーダー候補として当初から応援していた「チーム・ボリス」の他のメンバーたちも、呼び出されていた。

彼が危機に陥っていることは、すでに明らかだった。加えてこの後、さらにひどい事態となった。

サジド・ジャヴィド保健相が辞任したのだ。辞任は打撃だが、言葉も打撃となる。

「イギリス国民は当然、政府に対して誠意を求めている」と、ジャヴィド氏は述べた。

ええ、本当に。ジャヴィド氏は5日夜の辞表でこう書いた。その日の朝には、内閣のテーブルを囲んでいたのだが。政府の最高レベルで仕える人物が、政府に批判的な人たちが何カ月も言い続けてきたのと同じ結論に達したのだ。政府とそのリーダーには誠意がないと。

政府崩壊の可能性

ほぼ同時に同じく辞任したリシ・スーナク財務相は、さらに踏み込んだ。国民は政府が「適切に、有能に、真剣に」行動することを期待している、と述べた。

これはつまり、朝の時点で首相と並んで座っていた人物が、現在の政府はそのどれにも当てはまらないと言ったことになる。

ちなみに彼は、来週の今ごろ、生活費の上昇に対処するための共同経済戦略を打ち出す予定だったが、ジョンソン氏に同調はできないと結論づけたとも述べた。

何百万、何千万もの人にとって現在、最も重要になっている問題でも、非常に大きい政策の不一致があったのだ。

私たちが突然、目の当たりにしたのは、政府崩壊の可能性だった。

かつてない危機

ただ、ちょっと待って。

私がこの文章を書いているのは、5日午後7時半過ぎだ。これまで約90分間は、誰も内閣を辞めていない。

多くの閣僚がとどまり続けると表明している。

そしてジョンソン氏も、簡単に辞任するような人物ではない(そうでないと分かるまでは)。

事態は、控え目に言って、流動的なままだ。

今晩の段階で大事なのは、ジョンソン氏が生き残れるかどうかだけだ。私たちには分からない、というのが単純な真実だ。

もう1つある。先ほどの問いの答えは、彼にも分からないのだ。彼はもはや、さまざまな動きも政府もコントロールできない。これほど危機的な日を、ジョンソン氏は迎えたことはなかった。