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関節炎の治療薬、新型ウイルス感染症で生存率高める=英研究
ミシェル・ロバーツ健康編集長、BBCニュースオンライン
通常は関節炎の治療に使われる薬が、新型コロナウイルスに感染して重症に陥った入院患者の一部に対し、命を救う効果をみせ得ることが、新たな研究で示された。
専門家らによると、関節炎治療薬「トシリズマブ」と、すでに日常的に使われている安価なステロイド剤を投与した場合、患者25人につき1人の命が救われる可能性があるという。
現在、いくつかの病院がこの治療法を取り入れ始めている。
英国民保健サービス(NHS)の医師らは、この治療法について、患者の生存率を上げて回復にかかる時間を短くするとともに、集中治療を必要とするほどの容体悪化を防ぐ可能性もあるとしている。
ウェンディ・コールマンさん(62)は昨年、新型ウイルスの感染症COVID-19が重症化しチェスターフィールド王立病院に入院した際、この治療を受けた。
「息をするのもかなり苦労し、集中治療室に移される寸前でした」
「トシリズマブを投与されると症状が安定し、それ以上悪化しませんでした。それまでは生きて帰れるかわからなかったので、すごく怖かったです」
目覚ましい結果
研究者らはこの治療法について、COVID-19の入院患者の約半数が恩恵を受ける可能性があるとしている。
これまでコールマンさんのような志願者4000人以上を対象に臨床試験(治験)を実施。「目覚ましい」結果が得られているとする。
治験では、志願患者の半分にトシリズマブを点滴投与。あわせて、命を救う効果のある安価なステロイド剤「デキサメタゾン」も投与した。
それらの集団とトシリズマブの投与を受けなかった別の集団を比べたところ、次のことがわかった。
- トシリズマブは死亡リスクを下げた――トシリズマブの投与を受けた患者のうち、28日以内に死亡したのは596人(29%)で、投与されなかった患者たちの694人(33%)より少なかった
- 患者が人工呼吸器を必要としたり重体に陥ったりする確率が、38%から33%に減少した
研究者らは、トシリズマブとデキサメタゾンを併用することで、酸素補給を受けている患者は3分の1ほど、人工呼吸器が必要な患者については半分近く、それぞれ死亡リスクを減らすことができるとしている。
「リカバリー」(回復)と名づけられたこの治験で共同主任研究員を務めた、マーティン・ランドレイ・オックスフォード大教授は、「併用されれば効果は非常に大きい。患者にとっても、イギリスや世界の医療サービスにとっても、いいニュースだ」と述べた。
英ケンブリッジのアデンブルックス病院の集中治療室で勤務するシャーロット・サマーズ医師は、「この発見はとても大きな前進だ。この治療法によって、人々は集中治療室に入らず、私のような人に会わなくて済むようになると思われる。それはよいことだ」と話した。
ただ、この治療法は安価ではない。患者はデキサメタゾンの5ポンド(約720円)に加え、500ポンド(約7万2000円)近く払わなくてはならない。それでも有益性は明らかで、集中治療室に入った場合にかかる1日約2000ポンド(約29万円)より費用は少ない。
これらの治療薬は、COVID-19患者の肺などを損傷する、深刻な炎症を軽減する。
治験の初期結果は近く、医学誌に提出され査読を受ける予定。
マット・ハンコック英保健相は「保健分野の同僚らと迅速かつ密接に協力し、この治療を必要としているNHSの患者全員が受けられるようにする。そうすることでNHSにかかる負担を減らし、ひいては何千人もの命を救えるようになる」と述べた。
NHSの全国医療責任者スティーヴン・ポウィス教授は今回の治療法を、新型ウイルスとの闘いにおける新たな躍進だと表現した。
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