厳しい親に、5分進んだ時計……「在外アジア人あるある」がフェイスブックで話題に

フランシス・マオ、BBCニュース、シドニー

この写真は、フェイスブックに作られた「Subtle Asian Traits(ちょっとしたアジア人の特徴)」というグループに投稿されたものだ。

「ママ、出かけてくる」という子どもの言葉に、アメリカやフランス、スペイン、イギリスの母親は「いってらっしゃい!」と返事をする。

しかしアジア人の母親の返事はこうだ。

「出かける? どこに? 誰と? どうして? 誰と帰るの? いつ帰るの? 毎日出かけてて、ここは家なのホテルなの? いくらお金を使っているの? 全くもう、ぜんぜん親と一緒にいてくれない。いつも出かけてばかり。私が死んだら初めて気づくのね」

……身に覚えはないだろうか。

このフェイスブックのグループは今、海外に住むアジア人に文化的な一大現象を巻き起こしている。

特にアジアから他国に移住した第一世代の生活にまつわるネタやジョークが、このグループを一躍有名にし、9月の立ち上げから現在までに100万人近くが参加している。

グループには誰でも投稿できるが、同時に文化的アイデンティティーについての論争も巻き起こした。

「Subtle Asian Traits」を立ち上げたのは、豪メルボルンに住む中国系オーストラリア人の高校生9人だ。突然の成功に、9人は驚いている。

キャスリーン・シャオさん(18)はBBCに、「私たちはいつもアジア文化や外国で育つことについてジョークを飛ばしていて、それをシェアする場所が欲しかっただけ」と話した。

アン・グーさんは、グループの参加者が1000人を越えた時点でとても嬉しかったが、「今はもう手に負えない」と言う。

「Subtle Asian Traits」がアジアからの移住者コミュニティーへと成長したことについては、「このグループがこんなに大きくなるとも、真面目なものになるとも思っていなかった」とアンさんは話した。

最初のアイデアは、単に家での生活やアジア文化の「ちょっと変わったところ」、バブルティーに関するネタやジョークを共有したかったのだという(アジア発のこの人気ドリンクにまつわるジョークはたくさんある)。

他にはどんな「あるある」が?

「Subtle Asian Traits」にはさまざまな話題が投稿されているが、アジア移民の子どもが体験するアジア文化に関するものが多い。

このグループの参加者のほとんどがアジアに住むアジア人ではなく、オーストラリアやアメリカ、カナダ、イギリス在住の若者なのはそのためだ。

シャオさんは、人気が出たのは「これまで特に話題にならなかった日常の小さな出来事」を浮き彫りにするからだと感じている。

投稿されるネタの多くは家事にまつわるものが多い。水道水を沸かして白湯を飲む習慣や、指を使って米を炊く水の分量を計ったりする習慣などだ。

他には、西洋社会で育つアジア人としての経験にまつわるジョークが多い。グーさんによると、「時には、アジアと西洋、2つの文化の中でどのようにバランスをとるかという悩みに関するものもある」という。

たとえば「アジア人らしさが足りない」というネタには、2つの言語を使い分ける際の失敗や、中国語の宿題に苦労すること、家族のルールや伝統への反発などが挙げられる。

一方で、日常生活で経験するちょっとした人種差別や、「白人らしさが足りない」と思わせられる出来事などの投稿もある。

ジョークのネタとして定番なのは「アジア人の親」だ。典型的に、慎重で厳しく、高圧的な人物として描写される。

私は中国系オーストラリア人だが、特に笑い転げてしまった投稿を紹介しよう。この投稿には「ある日、朝食を食べなかったと母親に言ったとき」というタイトルが付いている。

その後、母親から送られてきたというメッセージが下の写真だ。

「あなたが朝食を食べず、授業を2つ受けて、12時まで何も食べずに過ごしたと聞いて大変動揺しています。このせいで昨日はよく眠れませんでした。あなたみたいにしょっちゅう12時間以上お腹を空かせながら活発に動くのは、健康によくありません。ここ最近あったように、一生懸命働いてストレスを受けている時は特に。私の同僚の旦那さんはプリンストン大学を首席で卒業して、ウォール街で一流の投資家でした。でも悪い食生活のせいで胃を悪くして、糖尿になって、愛する仕事をやめなくてはなりませんでした。あなたにそうなって欲しくない。よい食生活はあなたの健康、人生、キャリアにとって不可欠です。もっと朝食に気を使ってほしい。この記事をご参考に」

特に「このせいで昨日はよく眠れませんでした」という一文などが、私自身の母親からのメッセージに異様なほどそっくりだった。

グーさんは、このグループは「共感しやすい」デザインを心がけている」と話す。中には、グループの管理人に感謝のメッセージを送ってくる参加者もいるという。

「ある女の子は、このグループで初めて自分が何かの一員だと思えたと言っていました」

シャオさんは、このグループを作ったことで、自分の経験がよくあることなのだと分かったと話す。

「外国で育つと、他の人に分かってもらえないんじゃないか、マイノリティーだと判を押されてしまうのではないか、そう思って言えないことがあります」

バランスを取る

インターネット上で文化的アイデンティティーについての見識を提供する他のグループと同様、「Subtle Asian Traits」にも大変なことは色々ある。

開始当初は、投稿のほとんどが東アジアに関するもので、全てのアジア文化を内包していないと批判されることもあった。

それ以来、グループ運営者はもっと多様なコンテンツの取入れを重視していると、グーさんは言う。そしてグループのルールとして、参加者は「全てのアジア系人種を取り込む」よう奨励されている。

ちなみに、グループのルールは全部で5つだ。4は中国文化では不吉な数字とされているので。

他にも、中国語で「虎」と形容される厳しい親に関する話題は、否定的なステレオタイプを強化するものだという批判もある。

掲示板サイト「Reddit」では、ユーザーの1人が、この手のジョークは内面化された人種差別で「自己嫌悪」と同じことだと指摘した。

グーさんは、いくつかのジョークがステレオタイプを悪用したものだと認める一方、ほとんどの投稿者は「だいたい自分たちの文化アイデンティティーを受け入れている」と擁護した。

「みんなバランスを分かっています」

また、参加者は投稿を通じて「幼少時代のネガティブな経験を面白く、ポジティブなものに変えることができる(中略)ユーモアを使ったいやしになる」と話した。

グーさんは、このグループが自分自身の文化に対する誇りを深めてくれたと話す。これは予想していなかった経験だという。

「そんなに恥ずかしがって自分の文化を隠したりしなくてもいい。このグループを通じてほかの人たちも、そういう自信が持てるようになってほしい」