戦うキツネ2匹の生と死、対称性とらえ 野生生物写真コンテスト

    • Author, BBC科学担当編集委員
    • Role, ジョナサン・エイモス

 戦果は勝者へ……。戦うキツネの生々しい姿をとらえたアマチュア写真家の写真が13日、ロンドン自然史博物館主催の野生生物写真コンテストで最優秀作品に選ばれた。

撮影したのはドン・グトスキさん。カナダ・マニトバ州のワパスク国立公園で、死闘の末にアカギツネがホッキョクギツネの遺体をくわえて立ち去ろうとする瞬間をとらえた。

グトスキさんはBBCニュースに「自分がこれまで撮った中で最高の写真だ」と話している。

「頭と体と尻尾がシンメトリー(対称)になっていて。顔の表情まで」

ワパスク国立公園はハドソン湾沿岸にあり、アカギツネとホッキョクギツネの生息地が重なり合う。

アカギツネの方が体が大きいため、ホッキョクギツネを見つければ捕獲しようとする。

2種類のキツネが戦う様子を見たというガイドたちの報告はあったが、撮影に成功するのは珍しい。

コンクールの審査員のひとり、米誌「ナショナル・ジオグラフィック」のキャシー・モランさんは、恐ろしい場面なのにそのむごさは驚くほど抑制されていると評価する。

「残酷な印象はまったく受けない。むしろ、まるでアカギツネが冬の上着を脱いだところみたいだと最初に思った」

自然史をテーマにした企画担当のモランさんはさらに、気候変動について強いメッセージを含む写真だと指摘。

「北極や亜北極の気温が上がると、アカギツネは北上し、ホッキョクギツネの生息地に入れるようになる。するとこういう対立関係が頻発することになる」

コンテストを主催するロンドン自然史博物館での授賞式で、グトスキさんの優勝が発表された。100カ国近くから応募のあった4万2000点から選ばれた作品は、「二狐物語」と名付けられ、16日から同博物館で展示された後、各地を巡回する。

もうひとつの主要部門が「若い野生生物写真家」部で、今年は「戦うエリマキシギ」を撮影したチェコの14歳、オンドレイ・ペラネクさんが選ばれた。

浅瀬を歩くエリマキシギの雄(英名=ruff)は、求愛シーズンになると乱暴な行動をとることで知られる。

「多くの大人の写真家が撮ろうとした瞬間を、オンドレイは見事にとらえた」と審査員のモランさんは評価する。

「生々しい写真だ。これはという行動が全部画面に収まっている。写真に求める要素がすべて一瞬に凝縮されている。撮影したのが若い写真家だというのも、作品をさらに多層的なものにしている」