トルコ大統領選、決選投票が濃厚 エルドアン氏優勢も過半数届かず

ポール・カービー、BBCニュース(アンカラ)

トルコで14日、大統領選挙が行われ、与野党候補が互いに勝利を譲らず、決選投票にもつれ込む見通しとなった。

20年間現職にあるレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は与党・公正発展党(AKP)本部のバルコニーに立ち、さらに5年の任期を得たと確信していると述べた。

一方、野党統一候補のケマル・クルチダルオール氏にとっても、勝利のための条件が整っているようにみえた。しかし、第1回投票では、エルドアン氏にわずかに後れを取った模様だ。

また、連立与党は議会で多数派となる可能性が高い。

エルドアン大統領は2016年のクーデター未遂後、劇的にその権力を強めてきた。切羽詰まっている野党はこの数カ月の間、エルドアン政権を終わらせようと、力をためてきた。

クルチダルオール氏は、当選したあかつきには民主主義と北大西洋条約機構(NATO)同盟国との関係を再活性化させると約束しており、西側諸国も今回の大統領選に注目している。一方、イスラム主義のエルドアン政権は、西側がエルドアン氏を引きずりおろそうと計画していると非難している。

クルチダルオール氏は15日早朝、首都アンカラの共和人民党(CHP)本部で、「もし国が第2回投票を行うと言えば、我々は絶対に勝つだろう」と述べた。

同氏は以前、現政府が野党地盤に繰り返し攻勢をかけることで「人々の意思を妨げ」ようとしていると非難していた。

クルチダルオール氏はこれまで何度か、党首として選挙に敗北してきたものの、今回は大統領の過剰な権限を廃止するというメッセージが人々に届いたようだ。

トルコはまた、インフレ率が44%に達するなど、生活費危機に見舞われており、経済はエルドアン氏の型破りな政策によって悪化の一途をたどっている。

エルドアン氏はさらに、2月に起きた2度の大地震への対応の遅さでも批判を浴びている。この地震では11県で5万人以上が死亡した。

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だが、こうした厳しい数カ月を経たにもかかわらず、エルドアン大統領はなお優勢のようだ。

エルドアン氏は15日、過去に勝利宣言を行ってきた党本部のバルコニーで、「まだ最終結果が出ていないが、我々ははるかに優勢だ」と述べた。

2週間後に行われる見込みの決選投票でもリードするかどうかはわからない。ただエルドアン氏は、クルチダルオール氏の方が勢いがあり、決選投票を必要とせずに同氏が勝つとしていた多くの世論調査を覆した格好だ。

国営アナドール通信が引用した未確認の結果によると、エルドアン氏率いるAKPはまた、連立を組む民族主義者行動党(MHP)と共に議会で過半数議席を獲得する見込みだ。

今回の大統領選では、ケマル・アタチュルクが近代的な共和国を創設してから100年がたった今、トルコ社会がいかに分断されているかが明らかになった。

投票開始の数時間前、クルチダルオール氏はアンカラのアタチュルク廟(びょう)を訪問して選挙活動を終えた。

一方のエルドアン大統領は、イスタンブールのアヤソフィアで演説を行うことで、保守派・国家主義者の支持基盤に向けて非常に象徴的なメッセージを発した。アタチュルクは、かつてキリスト教・東方教会の大聖堂だったアヤソフィアを世俗化し、博物館とした。エルドアン氏は2020年、これをモスク(イスラム教の礼拝堂)に改修した。

決選投票がどれだけ接戦になるかはわからないが、第1回投票で3位だったシナン・オアン氏の5%の票がどうなるのか、すでにさまざまな憶測が飛び交っている。

オアン氏は、エルドアン氏とクルチダルオール氏の双方から交渉を求められると分かったうえで、いくつかの厳しい条件を提示しようとしている。