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各国首脳やメディアの反応は? トラス英首相、45日で辞任表明
イギリスのリズ・トラス首相の辞任表明を受け、世界中の政治指導者やメディアがさまざまな反応を示している。メディアの多くは、在任期間の短さや、現在進行形のイギリス政界の混乱に触れている。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、個人的にはいつも「同僚が辞任するのは悲しい」と述べた上で、イギリスが早急に安定することが最も重要だと話した。
米ホワイトハウスでは、記者団がジョー・バイデン大統領に、トラス氏は正しい決定をしたかと質問。バイデン大統領は、これはトラス氏の決定だと述べ、「トラス氏の判断に意見を言う」つもりはないと話した。
バイデン氏はこのやりとりの前に出した声明で、イギリスとの緊密な関係は続くとし、「ロシアのウクライナ侵攻の責任を追及するなどさまざまな問題」におけるトラス氏との協力関係に感謝を表明した。
ウクライナのオレクセイ・ゴンチャレンコ議員もトラス氏の支援に感謝し、「ウクライナは決してあなたを忘れません!」と語った。
一方で、ロシアからは、トラス氏をねぎらう言葉はほとんど出されていない。同国外務省の報道官はトラス氏の辞任を歓迎し、「これほど不名誉な首相は他に知らない」と述べた。
世界中の多くの評論家も、躊躇(ちゅうちょ)なく評価を下している。
「トラスかレタスか」
英タブロイド紙デイリー・スターが行っていた、トラス氏の在任期間とレタスの消費期限どちらが先に切れるかの競争は、世界中の注目の的となった。米紙ニューヨーク・タイムズは、「トラス氏の計画は頓挫し、保守党はトラス氏に背を向け、コメンテーターたちはトラス氏がレタス1玉(の賞味期限)を超えて(首相を)続けられるかどうか広く推測していた。彼女は結局続けられなかった」と伝えた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の側近であるドミトリー・メドヴェージェフ氏さえこの競争に言及。ツイッターに「さよならリズ・トラス、おめでとうレタス」と投稿した。
米紙ワシントン・ポストはトラス氏の辞任について、「保守党の党首は、減税によって政府の経済政策を根本的に変えようとしたが、その費用をどのように負担するのかを明らかにしなかったため、失敗した。こうして始まったひどい自傷の数々が政治的な死のスパイラルになってしまった。市場の反応は悪く、トラス氏は立ち直れなかった」と評した。
カナダ紙のグローバル・メイルは、「19日、トラス氏は主要4閣僚のうち2人目を失い、議会で自身の成果を擁護しようとして笑われ、保守党の議員たちが政策について大っぴらにけんかするところを見て、英政界の混乱を深めた」と書いた。
豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドは、トラス氏の在任期間は「財政上の混乱に巻き込まれた」と述べた。ナイジェリア紙のプレミアム・タイムズも、トラス政権が発表した減税政策「ミニ・バジェット(小さな予算)」が「財政上の騒ぎ」を引き起こしたと指摘した。
ブラジル紙グラボニュースのロンドン特派員は、イギリスの現況を「全くの大荒れ模様で、あらゆる方面で混乱が起き、政府は集中治療中だ」と評した。アルゼンチン紙のラ・ナシオンは「イギリスの危機」と書いた。
中国では国営放送の中国中央電視台(CCTV)が、トラス政権は「過去50年で最大の減税政策」を打ち出したものの、「金融市場に大きな変動をもたらし、世論の強い反発を招いた」と説明した。
サウジアラビアを拠点とする新聞アル・アラビヤは、イギリス政府、「特に保守党」で「混乱」が起きていると書いた。
地獄に落下
欧州では、アイルランド紙のアイリッシュ・タイムズが攻撃の手をゆるめることなく、「イギリス政治史における最悪の事態」と書いた。
「来週に何が起きようが、議会の母は悪い冗談となり、その憲法は笑いものになった」
「首相は通常、何かの代表として立っているはずだ。今日の首相官邸でのトラス氏は、何も背負っていなかった」
アイルランドのミホル・マーティン首相は、イギリスの安定を求めると述べ、「イギリスのシステムが(中略)できる限り早く後任を見つけるものになってほしいと願う」と付け加えた。
フランス紙ル・フィガロはトラス氏の「地獄への落下」について、「トラス氏は現代で最も在任期間の短かった首相として落ちていく。たった44日間で数百万人ものイギリス人の経済状態の悪化を加速させ、国際的なイギリスのイメージを弱め、政権を12年握る中で弱まってきた保守党の団結を劣化させた」と報じた。
スペイン紙のエル・パイスは特に無遠慮だった。「トラス氏は首相として中身がなく、守るべき計画もなく、政府の仕事を効果的に伝えることもできず、議会グループと完全に対立していた」と分析。
「19日に行われた、野党・労働党が仕掛けたわなのような動議をめぐる投票での大失敗は、事態をさらに悪化させた。分単位で崩壊していく政府への忠誠心を示すために、フラッキング(ガス採掘の水圧破砕法)のような物議をかもす問題で、意に反した投票を強いられた保守党議員たちは、震え、押し合い、叫び声をあげていた」
ドイツでは、タブロイド紙ビルトが状況を「ブリット・クエイク(イギリス地震)」と表現。デイリー・スターのレタスを引き合いに、「レタスが大きなパーティーを開いている」と書いた。
南ドイツ新聞は、トラス氏は就任当初から厳しい状況にあったが、「内部からの大批判に耐えられなくなった」のだと説明した。
「トラス氏との仕事は楽しかった」
南米コロンビアで初の左派大統領となったグスタボ・ペトロ氏は、トラス氏の失脚は富裕層への減税の試みが発端であり、世界中の指導者への教訓だと示唆した。
一方、オランダのマーク・ルッテ首相も、イギリスの安定と党首選の早急な実施を求めた。その上で、「個人的にはトラス氏との仕事は楽しかった」と述べた。
スペインのペドロ・サンチェス首相は、トラス氏は経済危機に対して、減税や福祉政策の削減といった「古い」アプローチをとっていたと思うと話した。