北朝鮮が2日連続のミサイル発射、米副大統領の非武装地帯視察後

アメリカのカマラ・ハリス副大統領が訪韓した29日、北朝鮮は前日に続き、平壌郊外の順安(スナン)付近から東の方向に弾道ミサイル2発を発射した。韓国軍合同参謀本部が発表した。北朝鮮による発射実験は今週に入って3回目。

韓国軍合同参謀本部は29日の北朝鮮のミサイル発射について、同日午後8時48分ごろから57分の間に実施されたと発表した。日本の防衛省は、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定している。

北朝鮮は朝鮮半島近海で米韓合同軍事演習が開始される前日に弾道ミサイル1発を、ハリス米副大統領の訪韓前夜の28日に短距離弾道ミサイル2発を発射。ハリス氏が29日午後に南北軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)を訪れると、再びミサイルを発射した。

北朝鮮の25日の発射実験は、6月初旬以来3カ月以上ぶりだった。ただ、北朝鮮は今年に入って30発以上発射しており、1年間の発射回数としては過去最多となっている。

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米副大統領と韓国大統領が会談

ハリス米副大統領は29日午前、韓国・ソウル郊外の烏山(オサン)にある米空軍基地に到着。その後間もなく韓国の尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領と会談した。2人は北朝鮮の行動を非難した。

ホワイトハウス声明で、ハリス氏と尹氏は北朝鮮政府の「挑発的な核のレトリックと弾道ミサイルの発射」を批判し、「朝鮮半島の完全な非核化という(両者の)連携と目標を再確認」したとした。

ハリス氏はまた、「アメリカが(韓国を)守ることを約束し、(韓国の)緊密な協力を歓迎することを強調した」という。

米朝間の非核化交渉が行き詰まる中、北朝鮮は兵器の製造と改良を続け、アメリカは防衛を強化している。こうした中で相次ぐ直近のミサイル発射は、全般的な対立状況のエスカレーションの一部と言える。

軍事演習に反発

複数の専門家は今回の発射を、米韓合同軍事演習への報復だとみている。

合同軍事演習は4日間の日程で行われる。演習に合わせ、米原子力空母「ロナルド・レーガン」が2017年以来約5年ぶりに韓国・釜山に入港している。

北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は26日、国連総会の演説で米韓合同軍事演習を批判。朝鮮半島を「戦争の瀬戸際」に追い込んでいると述べた。また、アメリカの北朝鮮に対する「敵対的な政策」が、世界がいま「より危険な段階へと向かっている」理由だとした。

韓国とアメリカは長らく、合同軍事演習は地域の安定を目的とするものだとして、その意義を強調してきた。

秘密主義的な共産主義国家の北朝鮮は、核兵器の保有について強硬姿勢を続けており、アメリカと韓国にとって頭痛の種となっている。

今月8日には、核兵器保有国だと公式に宣言する法令を採択。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、決して核兵器を放棄したり、核軍縮交渉に参加したりしないと誓った。この法令では、自国を守るために先制核攻撃を行う権利についても明文化されている。

核実験の可能性は

アメリカと韓国の情報当局は数カ月前から、北朝鮮は核実験を行う用意ができているものの、政治的な好機をうかがっているのだという見方を示している。

核実験が行われれば、5年ぶり7回目となる。韓国の情報当局は、北朝鮮が10月中旬から11月上旬までに核実験を行う可能性があるとの認識を示した。これは中国共産党大会とアメリカの中間選挙直前の時期にあたる。

5月に韓国大統領に就任した尹氏は、北朝鮮の脅威に取り組むため、アメリカとの同盟関係強化に重点を置いている。