ロシアのノーベル平和賞編集長、襲撃される 列車内で赤い塗料

ロシアの独立系リベラル紙「ノーヴァヤ・ガゼータ」の編集長でノーベル平和賞受賞者のドミトリー・ムラトフ氏は7日、首都モスクワ発サマラ行きの列車内で何者かに襲撃され、有機溶媒アセトンが含まれた赤い塗料をかけられたと明らかにした。

ムラトフ氏は、「目が焼けるようにひどく痛む」と話した。襲ってきた男は、「ムラトフ、これは若者たちのためだ」と叫んだという。

ムラトフ氏率いる独立系新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」は、ロシア当局を厳しく批判することで知られる。

同紙はロシアによるウクライナ侵攻に関する報道をめぐりロシア当局から警告を受け、先月28日にオンラインと紙面による活動を一時停止すると発表。ロシアによる「特別軍事作戦が終わるまで」としている。

ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ監督庁(ロスコムナゾル)は、ウクライナでの攻撃を「特別軍事作戦」と呼ぶよう、国内のすべてのメディアに指示している。「戦争」と表現した者は重い罰金を科せられたり、活動停止に追い込まれる。

今回の襲撃に関する写真は、「ノーヴァヤ・ガゼータ」のジャーナリスト・チームが新たに立ち上げた報道機関「ノーヴァヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」のテレグラム・チャンネルで公開された。同機関は、ロシア国外で活動し、様々な言語で記事を掲載するとしている。

ムラトフ氏は2021年、ロシア国内での表現の自由を守るために闘ったと評価され、ノーベル平和賞を受賞した。

強まる報道規制

2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、ロシア国内では報道規制がますます厳しくなっている。ほとんどの独立系報道機関へのアクセスは遮断あるいは制限されている。報道機関が自ら検閲しているケースもある。

国内でのフェイスブックやインスタグラム、ツイッターの使用も禁止されている。

最近では、ウクライナ侵攻に反対する大勢のロシアの活動家やジャーナリストが、政府寄りの何者かによって自宅を破壊される事件が起きている。

開戦以降、ロシアで戦争に反対する人たちの生活は厳しさを増している。政府は今月初めに、戦争に関する「偽」情報を拡散した者を最高15年の実刑で処罰するという改正刑法を成立させた。

ウラジーミル・プーチン大統領をはじめとするロシアの政治家は、戦争反対を訴える行為は国に対する裏切りだとしている。