英政府、パーティー問題の調査内容を公表 「指導力が欠如」

イギリスの首相官邸で新型コロナウイルス対策のロックダウン中に複数のパーティーが開かれていた問題で、英政府は1月31日、調査内容の「途中経過」を公表した。12ページにわたる報告書は「指導力の欠如」が背景にあったと指摘した。

パーティー問題について調べているベテラン公務員のスー・グレイ氏が、調査の途中経過をまとめた。これまで周知されていなかった3つの会合を含め、16の会合について調べた。

報告書でグレイ氏は、いくつかの会合は「開催を認めるべきではなかった」とした。また、8つの個別の日付に開かれた12の会合について、ロンドン警視庁が新型ウイルス対策のルール違反容疑で捜査を進めていることをあらためて確認した。さらに、警察の捜査中なので今回の発表は途中経過に過ぎないとした。

ボリス・ジョンソン首相はこの日の下院で、質問と批判を浴びる中、調査結果を全面的に受け入れると述べた。

ジョンソン氏は、「指摘は受け止め、直していく」とし、グレイ氏の調査の初期段階の結果から学ぶと宣言。

「平たく言って私たちがきちんと対応できなかった事柄について、申し訳なく思う。この問題への対応についても申し訳なく思う」と述べ、官邸の仕事のやり方を改革すると約束した。

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報告書は、官邸や政府庁舎でのパーティー問題で大揺れのジョンソン政権にとって、大きな意味をもつ。

与党・保守党の多くの議員は、ジョンソン氏に辞任を求めるかどうか、報告書の内容で判断するとしている。

保守党議員54人以上が、ジョンソン氏に対する不信任の書簡を同党の「1922年委員会」に提出すると、党内で不信任投票が行われる。可決されれば党首選が開かれる。

警察の捜査

報告書によると、ロンドン警視庁は8つの別々の日付に開かれていた12の会合について、新型ウイルス対策のルール違反容疑で捜査を進めている。

それらの会合には、2020年5月20日に官邸の庭で開かれた「酒類持参」の集会や、同6月19日の首相の誕生日パーティーが含まれている。5月20日の会合については、首相は参加を認めて謝罪している。

さらに、2020年11月13日にジョンソン氏の公邸であった集まりについても警察は捜査している。

この集会に参加していたのか、野党はこの日の議会でジョンソン氏を追及した。同氏は警察が捜査中の案件について「逐一の説明」はしないと述べた。

「指導力と判断力が欠如

一方グレイ氏は、警察の捜査が進行中のため、自分が公表できることは「極めて限定されている」と説明。捜査に支障が出るとする警察の求めを受け、報告書は書き換え、現段階では「中身のある」報告書の公表ができなかったとしている。

それでもグレイ氏は、官邸の上級公務員や職員らの間にみられる風習を厳しく批判。いくつかの会合について、「問題となっている集まりの少なくとも一部は、政府中枢で働く者に求められる高い規範だけでなく、当時のイギリス市民全員に求められた基準を守らなかったという深刻な失敗」で、世間にどうみられるかの配慮が無さ過ぎたと指摘している。

さらに、「複数の時期に首相官邸と内閣府の複数の部署において、指導力と判断力が欠如していた。指摘されているイベントの一部は、開催を認められるべきではなかった。他のイベントは、結果的に行われた形で実施されるべきではなかった」と批判した。

警察に書類と写真を提供

グレイ氏はさらに、「いかなる時も、職場での過度の飲酒は不適切だ」としている。これは、官邸の庭で酒に酔った行動があったとされることや、官邸職員がスーツケースにワインのボトルを詰め込んでいたとされることへの言及とみられる。その上で、飲酒に関して「強力な」方針をもつよう勧告している。

ロンドン警視庁の捜査を率いるキャサリン・ローパー警視監は、これまでに500点以上の書類と、300枚以上の写真の提供を受けたと述べた。

規則違反の疑いがある人には、書面やメールなどで連絡を取るという。

官邸は、警察の調べが終わり次第、その結果を受けて報告書をアップデートするよう、首相がグレイ氏に求めるだとうとしている。

強まる辞任要求

この日の下院では、最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首が、国民はジョンソン氏に対して「良識を示して辞任すべき」だと思っているが、首相は「恥知らず」なのだと主張した。

スコットランド国民党(SNP)のイアン・ブラックフォード下院院内総務は、ジョンソン氏が議会でうそをついたと激しく非難。下院で使用禁止の「ミスリードした」という単語をとがめられ、リンジー・ホイル議長に退場を命じられた。

他の野党議員からも辞任要求が相次いだ。グレイ氏の報告書を全面公表するよう求める意見も多数出た。

与党からは首相を擁護する議員が出たが、野党の批判に同調する人もいた。

テリーザ・メイ前首相は、「新型ウイルス関連の規則は国民の自由を大きく制限した。国民は当然、首相が規則を読み、内容を理解し、首相の周囲の人たちも同じことをし、規則を守る手本を示すことを期待していた」と述べた。

閣僚経験のあるアンドリュー・ミッチェル議員は、もはや首相を支持しないと表明した。ジョンソン氏に対する不信任投票を求めていると報じられているアーロン・ベル議員は、祖母の葬儀に参列する際には厳しい感染対策ルールに従ったと説明。「首相は私を愚か者だと思っているのか?」と問いかけた。

ジョンソン氏はこの日の夕方、「1922年委員会」の会合で演説した。会合後、ジェイコブ・リース=モグ下院院内総務は、「雰囲気は明るかった」と話した。

ジョンソン氏に対して一貫して批判的な保守党議員の1人は、党首選開始に持ち込めるだけの不信任書状が集まる可能性は低いが、保守党は「惑わされている」と話した。