オミクロン株、入院リスクは50~70%低い=英保健当局

ジェイムズ・ギャラガー、健康・科学担当編集委員

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」に感染した人が入院するリスクは、他の変異株に比べて50~70%低いとする大規模調査の結果を、イギリス保健安全庁(UKHSA)が23日に発表した。

UKHSAは、この初期の発見は「勇気を与えるもの」だとした。一方で、それでも多くの人が入院することもあるだろうと指摘した。

この調査結果ではまた、ワンクチンのブースター(追加)接種の10週間後から、オミクロン株の感染を防ぐ効果が薄れていくことも判明した。

ただし、重症化を防ぐ効果はもっと長く続くとみられる。

今回の調査は、南アフリカ、デンマーク、英イングランド、スコットランドの調査に続くもの。それらの調査もすべて、オミクロン株は重症化リスクが比較的低いことを示している。

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この調査は、11月以降にイギリスで確認されたすべてのオミクロン株とデルタ株の感染例を分析したもので、オミクロン株で入院した132例や、感染発覚から28日に以内に亡くなった14例も含まれている。

分析の結果、オミクロン株の感染者について以下のことが明らかになった。

  • 救急治療を受ける確率は31~45%低い
  • 治療のために入院する確率は50~70%低い

しかし、オミクロン株は感染力が高いため、症状は軽くてもなお、病院に負荷を加えることになると指摘している。

症状が軽いという利点が、オミクロン株の感染者が増えすぎることで相殺されてしまうという問題も残っている。イギリスでは23日、新たに11万9789人が新型ウイルスに感染し、1日当たりの最多記録を更新した。陽性判明から28日以内の死者は147人だった。

また、現在オミクロン株に感染して入院している人の大半は40歳以下で、この変異株が高齢者の間に広がった際にどうなるかはまだ不透明だという。

肺よりも気道から感染

オミクロン株は、その変異の形と人間の免疫の関係から、症状が軽くなっていると考えられている。

一方で、すでに感染歴のある人や、ワクチン接種を終えている人など、免疫系がすぐに働く状態にあっても感染する。

また、ラボでの研究で、感染の仕方の変化も明らかになった。オミクロン株は肺の組織よりも気道から感染しやすく、そのために他の人にうつりやすい。その半面、肺の繊細な組織からは遠いため、症状が軽いという。

これらの研究に携わった英ケンブリッジ大学のラヴィ・グプタ教授はBBCの取材で、「重症化リスクが低いという臨床結果と、オミクロン株の傾向が変わっているというラボのデータは一致する」と話した。

「ワクチン接種はなお、重症化や今後の別の変異株の脅威から守ってくれる重要な要素だ」

追加接種の効果は徐々に減退

研究ではさらに、追加接種の効果が弱まっていくことも示された。

オミクロン株に対しては、2回の接種だけでは十分な感染予防効果が得られないため、ワクチンの追加接種が求められている。

しかし調査結果によると、追加接種による感染防止効果は、10週間後には15~25%減退することが分かった。

それでも追加接種を受けないよりは効果が高く、重症化や死亡リスクに対してはさらに効果が高まる可能性があるという。

イギリスでは4回目の接種についての議論はまだ行われていない。ワクチンのアップデートを待つかどうかを今後、議論する。

入院患者は増加傾向

イギリスのサジド・ジャヴィド保健相は、初期のデータは「期待ができる」と述べ、政府は「毎時間ごとに」データをモニタリングしていると語った。

一方で、「オミクロン株の感染者はとてつもないスピードで増え続けており、すでに1日当たりの最多記録を更新している。入院患者も増えているが、国民保健サービス(NHS)を飽和させるわけにはいかない」と警告した。

政府はイングランドではクリスマス前に新しい行動制限を導入しないとしているが、感染者が増え続ければその可能性もあるとしている。