ポーランド首相、「EUに脅迫されている」 法の支配めぐり衝突

ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相が19日の欧州議会で、欧州連合(EU)に脅迫されたとして、EUを非難した。同首相は法の支配をめぐって、EUの政策執行機関である欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長と激しい応酬を繰り広げている。

ポーランドでは今月7日、最高裁に当たる憲法裁判所が、EU法の中心原則を否定する判断を示した。問題とされたのは、EU法が加盟国の国内法より優先されるとする原則だった。

この判断を受け、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、EUの価値観がポーランドによって損なわれるのを防ぐため行動すると発言。

「この(ポーランド憲法裁判所の)判断はEUの原則を問題視するものだ。ヨーロッパの法秩序の一体性に真っ向から挑戦するものだ」と述べた。

そして、法的に争う、EU基金からの拠出を停止する、加盟国としてのポーランドの権利の一部を停止する――の3つの選択肢を検討するとした。

これに対しモラウィエツキ首相は、「脅し文句」は受け入れられないとし、EUによる越権行為だと非難した。

さらに、持ち時間を超えて演説を続け、ポーランドはEU指導層に「攻撃されている」と主張。「経済的な罰則を持ち出すのは受け入れられない」と反発した。

また、「脅迫が政策をめぐる一手法になることは許されない」と訴えた。

加盟国から懸念の声

ポーランドの世論調査によると、国民の圧倒的多数はEUに加盟していることを支持している。だが、右派の国家主義的な現政権は、LGBT(性的少数者)の権利や司法の独立性など幅広い問題をめぐって、EUと対立的な姿勢を強めている。

EU法の原則をめぐる裁判は、モラウィエツキ首相が提訴した。EU加盟国のトップが国内の憲法裁判所でEU法を問題視したのは、これが初めて。

ポーランドとEUの衝突をめぐっては、加盟国から懸念の声が出ている。

ルクセンブルクの外相は、EUの存立が脅かされているとコメント。ドイツの欧州問題担当相は、EUとして原則的な価値について妥協すべきではないと述べた。

一方、リトアニアのギタナス・ナウセダ大統領は、法の支配の問題と拠出金の問題を結び付けるのは、「EUの一体性にとって想像を超える危害を及ぼす」恐れがあるとした。