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豪裁判所、公共放送ABCへの家宅捜索は合法と判断
オーストラリア連邦裁判所は17日、連邦警察が昨年、同国の公共放送オーストラリア放送協会(ABC)の本社に対して行った家宅捜索は合法だったとの判断を示した。
連邦警察は昨年6月、ABCの記者2人と報道局長1人を名指しした捜索令状を持って、ABCのシドニー本社を家宅捜索。また、機密情報を漏えいした疑いで大手メディア、ニューズ・コープ・オーストラリアの記者宅も捜索していた。
一連の捜査をめぐり、メディア業界や権利団体から、報道統制に当たるとの批判が広がった。オーストラリアの主要新聞は、文字の大部分を黒塗りされ「極秘」のスタンプが押された文書を、そろって1面に掲載して抗議した。
判決を受けてABCのデイヴィッド・アンダーソン社長は「残念だ」とコメント。問題の家宅捜索は「ジャーナリストを脅して職務を妨害しようとする」人目を引く試みだったと指摘した。
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連邦警察は、捜索の対象となったジャーナリストや、彼らの報道内容が、国家安全保障の関連法に違反していたとみている。
捜索の中で警察は、2017年にABCが発表した「ザ・アフガン・ファイルズ」という報道シリーズに関する何千もの書類を押収した。
このシリーズでABCは、オーストラリアの軍部がアフガニスタンで戦争犯罪に関わったとの疑惑を明らかにしていた。
政府はこの件について、報道の自由を擁護するとしつつ、「誰も法の上に立つことはできない」との姿勢をとり続けている。
捜査令状の合法性が焦点
ABCは連邦警察の捜査令状の合法性や、警察がジャーナリストの調査資料にアクセスする権利について裁判を起こしていた。
オーストラリアのメディア労組MEAAは、今回の判決は「国民の知る権利に対する現在進行形の深刻な脅威」を表しているとコメントした。
ABCのアンダーソン社長も、この判決は「公共の利益に関わるジャーナリズムには大打撃だ」と指摘。オーストラリアの安全保障関連法の「深刻な問題」を浮き彫りにしていると述べた。
「オーストラリアの国家機密法は、イギリスやアメリカ、カナダ、ニュージーランドといった西側の民主主義国と比べ、圧倒的にやっかいなものだ」とアンダーソン氏は語った。
同法をめぐっては、政府の活動に対する調査報道を抑制するものだとの批判が出ている。
連邦警察はABCに加え、ニューズ・コープ・オーストラリア所属のアニカ・スメサースト氏の自宅も家宅捜索している。
これは2018年にスメサースト氏が発表した、政府がオーストラリア国民に対するスパイ行為を計画しているという報道を受けてのもの。
警察はスメサースト氏や、ABC記者のサム・クラーク氏とダン・オークス氏について、それぞれの報道記事を理由に起訴する可能性を否定していない。
オーストラリアでは近年、ジャーナリストが保守派スコット・モリソン政権下でかつてない政治的圧力にさらされているという。
また、豪マカーリー大学のキャサリン・ラミー教授は、「現政権だけの問題でなく、政府がメディアを扱う方法がどんどん権威主義的になってきている」と指摘した。