買ったハンバーガーと広告の「食い違い」 必ずしも同じに見えないのはなぜか

米バーガーキングのメニュー写真は実際の商品より大きいとして、フロリダ州で客たちが集団訴訟を起こした。問題となる行為はないと、同社は主張している。こうした「食い違い」はなぜ起こるのか。

バーガーキングは従来から、販売するハンバーガーが「写真とまったく同じ」である必要はないと主張。今回はさらに、「当社の広告に表示されている直火焼きビーフパティは、全国で客に提供している何百万ものワッパー・サンドイッチに使用されているパティと同じ」などと説明している。

しかし、客が写真と実物のハンバーガーの違いを感じることは珍しくない。

不満を訴える客は、他の例も挙げている。「アイスクリームは写真ではアーモンドが丸ごと入っているように見えるが、削ったものしか入っていない」、「ピザのトッピングはほんの少しだけ」、「サラダは高いのに中身が乏しい」などだ。

「操作」の余地

フードスタイリングを専門とする米企業「アスティア」のエイミー・ウォードル代表によると、食品の広告写真に関しては、実際に入っていない食材を含めてはならないという大まかなルールがあるという。

それでも「操作」の余地は残されている。

サンドイッチの宣伝では、膨らみを持たせるためにパンの間にスポンジを入れることがあると、ウォードル氏は言う。ピザのスライスの場合は、チーズがうまくのびるように、他のピザからチーズを取って加えることもある。シリアルの写真では、牛乳を入れたボウルだとべちゃっとした感じになるため、代わりにゼラチンを入れて撮影することがあるという。

ハンバーガーの広告では、パンがマヨネーズで滑ってずれるのを防ぐため、つまようじで「足場」を作ることがよくあるという。

ウォードル氏は、「偽物を使うことはない」と話す。「ただ、パンは何十個ものの中から、しわや裂け目がない完璧なものを選ぶ」。

「小さなはさみで、パンの端を完璧に滑らかにすることもある。スライスした時に出たパンのかけらが、端にぶら下がっていないようにする」

「レタスは茶色の部分がなくて新鮮、かつ完璧な波形を描くものを使う。トマトは赤いほどいい」

ウォードル氏は、今回の訴訟の焦点となっているバーガーキングの「ワッパー」のオンライン画像について、たしかにパティ(肉の部分)がパンよりも大きく見えると、原告側に同意する。

ただ、もしかすると、ハンバーガーが包装されて熱ランプの下に置かれた結果、パンが少しつぶれた可能性はあると、ウォードル氏は指摘する。

また、パティを前にずらしたり、とりわけ小さいパンを使ったりして、肉を「より豊富に」見せている可能性もあるという。

さらに、パティの後部を切って側面に付け足し、幅を広げた可能性も理屈上はありうると話す。

誇大広告

米ニューヨークのバッファロー大学で法律を教えるマーク・バーソロミュー教授によると、画像が商品の不当表示にあたらない限り、こうした技術の駆使を禁じる特別な規定はアメリカにはないと話す。

また、不当表示についても抜け穴があると、同教授は言う。そのため、広告の中にはある程度の「誇張」がしばしば含まれることがあり得ると、認識する賢さが、客の側に求められるとする。

「訴訟で重要になるのは、実際にだまされて金を支払った人がいたのか、テレビで見る通りのワッパーを買えると、本当に思った人がいたのか、ということだ」

フロリダ州での訴訟では、バーガーキング側が「ポスターに描かれているようなハンバーガーを買えるなどとは誰も思っていない」と主張する可能性があると、バーソロミュー教授は話す。

判事はすでに、バーガーキングの広告画像をめぐる訴えについては請求を退けている。審理入りを認めたのは、店内での画像をめぐる訴えのみだと、同教授は指摘する。

この判断の背景には、広告に誇張が含まれるのはみんな分かっているが、店頭の画像は契約の一部に近い、という考え方がある。客はそれを見て、注文するからだ。法廷ではこの点が争われることになる。

だが、バーソロミュー教授によると、誤解を招くとされる画像をめぐる訴訟で、原告が勝利したケースはほとんどないという。

また、米連邦取引委員会がこの種の事案に介入することもほぼ皆無だ。

イギリスでの規制は、アメリカに比べると少しだけ厳しい。だが、「広告画像は誤解を招いてはならない」という基本原理は同じだ。

英広告基準局(ASA)の広報担当トビー・キング氏によると、ASAは店内やメニューにあるものを除いて、広告画像を取り締まっているという。

手が小さかった?

広告画像について疑義が指摘された場合、画像は実際の商品を表すものだと立証する責任は、企業側に課される。

ASAのキング氏は、「消費者はよく分かっている。広告が現実ではないと理解している。しかし、一線というものがある。私たちの仕事は、その一線が越えられたのか判断することだ」と話す。

ASAはこれまでに、画像の使用を禁止したことがある。一例が、2005年のケンタッキーフライドチキン(KFC)の広告だ。ASAはスタッフにミニフィレチキンバーガーを買わせ、実際の大きさを自分たちで確かめた。

「このケースでは、KFCは広告のモデルの手が小さかったと主張した」(キング氏)。

2010年には、バーガーキングの広告を禁止した。やはり商品のサイズが理由だった。「不当表示だと判断すれば、広告を禁止する」とキング氏は言う。

ハンバーガーが大好きなロンドンの男性は、企業がより正直な広告写真を使うことを望んでいる。

「ハンバーガーが、まるで反重力状態みたいに膨らんで見えるなんて、そもそもありえない。企業は実際の商品に誇りを持つべきだ」