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米上院議員、エルサルバドル刑務所に政府が「手違い」で移送の男性と面会
トランプ米政権がメリーランド州からエルサルバドルの巨大刑務所に強制送還したキルマー・アブレゴ=ガルシア氏について、同氏の釈放を求めてエルサルバドル入りしていた同州選出のクリス・ヴァン・ホレン上院議員(民主党)は17日、同氏と面会している写真をソーシャルメディアに投稿した。司法省と移民当局は3月末の時点でアブレゴ=ガルシア氏の強制送還は「手違い」だったと認めていたものの、政権は最近では、同氏がテロ組織のメンバーだと強調している。
ヴァン・ホレン上院議員は、 「これまで話してきた通り、今回の旅の最大の目的はキルマーに会うことだった。今夜、その機会が訪れた」とソーシャルメディアに書いた。さらに、 「彼の妻ジェニファーさんに電話し、彼の愛のメッセージを伝えた。詳しい内容については、帰国後に報告する」とも述べた。
ヴァン・ホレン議員とアブレゴ=ガルシア氏の面会後、エルサルバドルのナジブ・アルマンド・ブケレ・オルテス大統領は、アブレゴ=ガルシア氏は釈放しないと述べた。
アメリカではメリーランド州の連邦地裁がトランプ政権に、アブレゴ=ガルシア氏の帰国を「容易に」するよう命令し、連邦最高裁も全員一致でこの命令を支持したものの、政権は応じていない。トランプ政権は最近では、アブレゴ=ガルシア氏が外国テロ組織に指定されているエルサルバドルの国際テロ組織MS-13のメンバーだと主張している。同氏の弁護士はこれを否定している。
ホワイトハウスは上院議員による今回の訪問を「ひどいことだ」と非難。クシュ・デサイ報道官は、「クリス・ヴァン・ホレンは、不法移民でMS-13のテロリストの福祉を最優先するのが、民主党という政党なのだと、その位置づけを確かなものにした」と述べた。 「本当にひどいことだ。トランプ大統領は今後も、法を順守するアメリカ国民の側に立ち続ける」とも報道官はコメントした。
アメリカでは現在、移民の扱いをめぐり大統領と裁判所の対立が激化している。前日16日にはワシントン連邦地裁の判事が、同地裁の停止命令を政権が「故意に無視」して移民200人以上をエルサルバドルに追放したとして、政権を法廷侮辱罪に問う可能性があると述べている。
「祈りがかなった」と家族
アブレゴ=ガルシア氏は、エルサルバドルの巨大刑務所「テロ監禁センター(CECOT)」に収容されている。
ヴァン・ホレン上院議員は、16日にエルサルバドルに到着し、アブレゴ=ガルシア氏の釈放を求めて当局にさまざまな働きかけをしていた。今回の面会が実現する前には、刑務所に向かう途中で武装警備員に制止されたと話していた。
上院議員は、アブレゴ=ガルシア氏の状態についてソーシャルメディアに新しい情報を提供していないが、アメリカに帰国後に詳しく公表すると書いている。
アブレゴ=ガルシア氏の妻は、「祈りがかなえられた」と、上院議員からの知らせを歓迎した。 「正義を求めて、私たち家族とコミュニティが闘っている、その努力が届いている。夫が生きていると分かったので」と、ジェニファー・バスケス=スラ氏は述べた。
「神は耳を傾けている。コミュニティはしっかり力強く立ち上がっている」と、バスケス=スラ氏は強調した。ただし、不明なことがまだたくさんあるため、家族は引き続き、夫の釈放を求めて闘い続けるとも述べた。
ヴァン・ホレン上院議員は、エルサルバドルの副大統領とも会談し、アブレゴ=ガルシア氏の釈放を求めたものの、拒否されたと明らかにしている。
エルサルバドルのブケレ大統領は ソーシャルメディア「X」で、上院議員とアブレゴ=ガルシア氏が面会している写真を再投稿した。さらに、同氏の安全を心配する人たちをあざ笑うかのように、「キルマー・アブレゴ=ガルシア、『死の収容所』と『拷問』から奇跡的に復活し、今ではエルサルバドルという熱帯の楽園で、ヴァン・ホレン上院議員とマルガリータを味わっている!」と書いた。
続けて、「健康だと確認された今、エルサルバドルの拘束下にとどまる名誉な待遇を受ける」とも書いた。
アブレゴ=ガルシア氏はメリーランド州に住んでいたが、3月15日に多数のエルサルバドル人やヴェネズエラ人と一緒に、エルサルバドルCECOTに移送された。
メリーランド州のポーラ・ジニス連邦地裁判事は、アブレゴ=ガルシア氏は2019年の時点で、国外追放されないと裁判所命令によって保護されているため、今回の国外追放はそれに違反するものだと判断を示している。
連邦最高裁は今月10日、これを不服とする政権の訴えを退け、ジニス判事の判決を部分的に支持し、政権はアブレゴ=ガルシア氏の釈放と帰国を「容易」にしなくてはならないとの判断を下した。さらに政権に対して、取り組みの進捗(しんちょく)を毎日報告するよう命じた。
米司法省は3月末にメリーランド州の連邦地裁に提出した文書で、アブレゴ=ガルシア氏の追放は「事務手続き上の手違い」だったと認めた。同日には移民・関税執行局(ICE)の担当者も、同様の宣誓供述書を提出している。しかしホワイトハウスはその後、間違いはなかったと力説している。
トランプ大統領を支持する共和党関係者は、アブレゴ=ガルシア氏の追放はアメリカ国民の安全を守るという選挙公約を実現するものだと主張。2021年5月に妻バスケス=スラ氏が夫による家庭内暴力を訴えて接近禁止命令を請求したことを、共和党関係者は取り上げている。
これについてバスケス=スラ氏は16日付の米誌ニューズウィークに対して、自分たち夫妻はカウンセリングを受けるなどして、困難を乗り越えてきたと語った。
ホワイトハウス報道官のキャロライン・レヴィット氏は同日の記者会見で「(アブレゴ=ガルシア氏)がアメリカ合衆国に住むことは決してない」と強調した。この記者会見には、アブレゴ=ガルシア氏の件とは別件の2023年8月の事件で、エルサルバドルからの逃亡犯とされる男に殺害されたメリーランド州の女性の母親も出席した。