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欧州歌合戦「ユーロヴィジョン」で民泊価格が高騰、7万円が33万円のケースも
ヨーロッパ各国が参加する毎年恒例の歌合戦「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト」が開催される英リヴァプールで、民泊仲介サイト「Airbnb(エアービーアンドビー)」のホスト(貸主)たちが、宿泊料を釣り上げないよう警告を受けている。
すでに宿泊予約をしていたロイ・ヘンリーさんによると、ヘンリーさんの旅の目的がユーロヴィジョンだと知ったホストは、価格を465ポンド(約7万6000円)から2046ポンド(約33万6000円)に引き上げようとした。
Airbnbは「こうした行為は一切認めない」と述べ、ホストによる予約キャンセルと高価格での再設定を食い止める措置を取っていると説明した。
ユーロヴィジョンは、40カ国以上が参加する欧州最大の音楽の祭典。各国の予選を勝ち抜いた代表が楽曲を披露し、審査員とテレビ視聴者による投票で優勝者が決まる。
前年に優勝アーティストが輩出した国が開催地となるルールだが、2022年に優勝したウクライナではロシアによる侵攻が続いているため、審査員による投票でイギリスが開催国となった。
5月9~13日に行われる準決勝と決勝のコンサートチケットはすでに完売しており、リヴァプールにはこの期間、15万人が訪れる見込みとなっている。
リヴァプールの市街地には84軒しかホテルがないため、Airbnbは観光局と提携し、大規模な観光客の流入に対応できるよう市民に物件の登録を呼びかけていた。
しかしAirbnbも観光局も、宿泊料が適正価格以上に釣り上げられる事態に懸念を示している。
「不快な経験だった」
ロンドン在住のヘンリーさんは、ユーロヴィジョンのコンサートチケットを手に入れた後、リヴァプール市内の集合住宅の一室を、5泊456ポンドという「格安」料金で予約した。
しかしその翌日、ホストから届いた電子メールには、宿泊のキャンセル要請と、宿泊料が2046ポンドに改定される旨が記されていた。
「信じられなかった」とヘンリーさんは話す。
「もしホストが、『本当に間違えただけだ、1泊当たり50ポンド上げさせてもらえないか』と言ってきたら、私はそれでよかったかもしれない」
「しかし、この数日のために支払えと言われている額より、私ロンドンで払っているひと月分の住宅ローンの方が少ない」
Airbnbはヘンリーさんの件について、宿泊のキャンセルを認めるとともに、別の宿泊施設を探すコストの肩代わりを申し出た。また、このホストについては、ユーロヴィジョンのために物件を再掲載することを禁じた。
Airbnbは声明で、「ホストによる予約キャンセルを抑止するため、手数料や違約金の適用、ホストが同じ日程の新しい予約を受け付けないようにするなど、さまざまな措置を講じている」と説明。
「ユーロヴィジョン期間中に予約した平均宿泊価格は、1泊あたり260ポンド(約4万2700円)。これによって、利用者は手ごろな価格で宿泊できるし、地元の家族にとっては収入増につながる」
Airbnbは、ユーロヴィジョンの開催地がリヴァプールに決まって以降、物件の登録が増えていると説明。「生活費高騰と戦っている多くの人にとって、経済的な命綱になるからだろう」と述べている。
リヴァプールではこれまでも大型イベントが開催されていたが、リヴァプール市マーケティング部門のクリス・ブラウン主任は、ユーロヴィジョンは「おそらくこの街で行われる最大で最も有名で、最も影響力の高いイベントになる」と話した。
「家主や個人的な宿泊予約については、問題が生じている。市にはそれを規制できないので。『高ければ買うな』というのが、市役所としてのアドバイスだ」と話した。
ホテル価格も高騰
ユーロヴィジョンのファンクラブ「OGAE UK」のサイモン・ベネット氏は、「みんな一度、ゆっくり深呼吸して落ち着いたほうがいい」と話す。
リヴァプールが開催地に決まり、大勢が一気に事前予約した際には、ホテルの価格は「狂ったように」高騰したものの、現在は1泊200~300ポンドで安定している。
だが多くのファンは、近隣のマンチェスターやウォリントン、サウスポートなどで宿を取り、車や公共交通機関でリヴァプールに来る予定だと、ベネット氏は話した。
「全員がチケットを手に入れたわけではないので、価格は落ち着き始めている」
市内のホテルでは、参加国の代表や報道陣、関連組織などの予約が終わり、余った部屋を一般に売り始めている。ただし、週末はすでに満室だという。
民泊市場を調べる調査会社「AirDNA」は、決勝当日の宿泊料の中央値は1000ポンド近くまで上がっているものの、コンサートが近づくにつれ、価格を下げる必要が出てくると指摘した。
宿泊予約サイト「Booking.com」では、ユーロヴィジョン期間中に市街地で寝室2部屋のアパートに5泊する場合、価格は8145ポンド。次の週には同じ条件で2218ポンドだった。
宿泊料に悩むホストも
物件を貸し出そうとしているホスト側も、「新しい出来事」に苦慮しているようだ。
サラ・ロバーツさんはこれまで、「サッカーの試合のある週末」やエイントリーの競馬の時に、「家族や友人」に所有しているアパートを貸し出していただけだった。
「泊まる場所を探している人たちは、どれくらいの宿泊料が適切だと思っているのか?」とロバーツさんは尋ねた。「これまで家を貸したことのない人たちが多い(中略)ホストにもゲストにもすべてを明らかにしてほしい」。
自宅を貸し出しているトム・ジャクソンさんも、「どれくらいの金額を取ればいいのか分からないから、提案してほしいと掲載した」と述べた。
一方、ヘンリーさんによると、他の国で開催されたユーロヴィジョンに参加した時は、もっと安い値段で宿泊できたという。それでも、たとえどこに泊まることになっても、ヘンリーさんはリヴァプールでの開催が楽しみだと語った。
「ユーロヴィジョンはもう二度とイギリスに戻ってこないかもしれない。ただもう大好きで、完全にはまってしまってるんです」