プーチン氏、ウクライナ工作員がロシア侵入と「テロ行為」非難 ウクライナは反論

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2日、ウクライナの破壊工作グループがロシアの国境地帯に侵入し、民間人に発砲する「テロ行為」を行ったと述べた。ウクライナ側はこれについて、「典型的な挑発行為」と反論している。

プーチン氏はロシア国営テレビで、「相手は今日、別のテロ行為、別の犯罪を犯した。国境地帯に侵入し、民間人に発砲した」と述べた。

「向こうはそれが民間人の車で、民間人や子どもたちが座っているのを見てから発砲した。まさにそうした連中が、私たちから歴史の記憶を奪おうとしている。その者たちは何も実現できない。我々が締め上げる」と、プーチン氏は強調した。

ウクライナと国境を接するロシア西部ブリャンスク州の知事は、「ウクライナからの破壊工作員」らが国境沿いのリュベチャネ村で民間人の車に発砲したとした。男性2人が死亡、10歳の少年が負傷したという。

ウクライナ側は否定

ウクライナはロシア側の主張を強く否定した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めるミハイロ・ポドリャク氏は、「典型的な故意の挑発行為」だとツイート。「RF(ロシア)は他国への攻撃を正当化するため、自国民を怖がらせようとしている」とした。

この件について独立した検証は行われていない。

ロシアはこれまでも、ブリャンスク州などロシア国境地帯でウクライナのミサイルやドローン攻撃があったと報告している。ただ、ウクライナ地上部隊によるロシア侵入は確認されていない。

ロシア連邦保安局(FSB)は、FSB軍と正規軍が2日、ロシアに越境して人質を取った「ウクライナの民族主義者」らと衝突したと明らかにした。

FSBによると、「民族主義者」らはその後、ロシアの大規模な砲撃を受け、ウクライナに退却した。リュベチャネ村に大量の爆発物を残していったという。

ロシアが昨年2月に大規模なウクライナ侵攻を開始した際、プーチン氏はウクライナ政府に「民族主義者」や「ネオナチ」のレッテルを貼った。そのうえで、ロシアはそれらの勢力に対して行動する必要があると訴えた。

ただ、ゼレンスキー氏は民主的に大統領に選出されている。また、同氏はユダヤ系で、政権には極右の政治家はいない。

SNSに動画を投稿

メッセージアプリのテレグラムには、ウクライナを拠点とするロシアボランティア団(RVC)のメンバーらが診療所の外にいる場面だとされる動画が投稿された。武装した男性が、国境を越えてロシアに渡ってきたと述べている。

調査報道グループ「ベリングキャット・モニタリング」によると、RVCは「ウクライナで反プーチン、反クレムリン(ロシア政府)の活動をしている極右ロシア人らを中心に昨年正式に結成された団体」だという。

ベリングキャットの専門家マイケル・コルボーン氏は、動画内の男性の1人について、「ニキチン」という姓も使うRVCのリーダー、デニス・カプスチン氏と特定した。

コルボーン氏は、「RVCは実際の戦闘や、少なくとも本格的な戦闘は、ほとんどしていないと思われる。カプスチンはスポーツとしての格闘技の訓練は受けているかもしれないが、軍隊経験はまったくない」とBBCに述べた。

RVCは動画と共に文章を投稿している。そこには、「同胞に対して、希望があること、武器を手にした自由なロシア人が政権と戦えることを示すため、ブリャンスク州に入った」と書いてある。

RVCの主張について、ウクライナ軍情報当局のアンドリイ・ユソフ氏は、「この人たちはプーチン政権とその支持者を相手に武器を持って戦っている。(中略)おそらくロシア人たちは目を覚まし、何かに気づき、具体的な行動を起こし始めているのだろう」と述べた。

プーチン氏は今週、ウクライナと西側のスパイがロシア国内で活動を活発化させていると非難した。ロシア当局によると、モスクワから約100キロのコロムナ地区でドローン1機が墜落した(ウクライナ製とは確認されなかった)。また、ロシア南部でウクライナ製ドローン2機を撃墜したという。

ロシアは以前、ロシア南部の空軍基地でドローン攻撃があったと発表した。ウクライナへの爆撃に使われた基地だった。ウクライナはロシア国内でドローン攻撃を実施したとは認めておらず、ロシア政府によるプロパガンダだと非難している。