スリランカ大統領、軍用機で国外脱出 辞任直前に

スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領(73)が13日未明、軍用機で国外に脱出した。同国では経済危機を受けて、大規模な抗議行動が広がっていた。

BBCの取材では、ラジャパクサ氏は現地時間13日午前3時ごろ、インド洋の島国モルディブの首都マレに到着した。

同氏は、9日に大統領公邸に群衆がなだれ込んだあと、身を潜めていた。13日に辞任すると表明していた。

情報筋によると、大統領の弟のバジル・ラジャパクサ元財務相も出国した。アメリカに向かっているという。

スリランカでは、ラジャパクサ氏の一族が数十年にわたって権勢を振るってきたが、これに終止符が打たれることになる。

デモ参加者らは歓喜

大統領出国のニュースが伝わると、首都コロンボの主な抗議デモ地点となっているゴール・フェイス・グリーンには、歓喜したデモ参加者らの大歓声が広がった。

この公園には、前日夕の時点ですでに数千人が集まり、大統領の辞任を待っていた。

国民は、過去数十年で最悪の経済危機について、ラジャパクサ政権の失政だと非難。

ここ数カ月間は、連日の停電に加え、燃料や食料、医薬品など基本物資の不足に悩まされてきた。

大統領在任中は訴追が免除されていたラジャパクサ氏は、新政権下で逮捕される可能性がある。それを避けるため、辞任前に国外に逃げたとみられている。

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権力の空白の恐れ

大統領の退陣で、スリランカで潜在的な権力の空白が生まれる恐れがある。財政破綻した同国は苦境から脱却するため、機能する政府が必要とされている。

憲法では、大統領が辞任した場合、首相が職務を代行する。

しかし、ラニル・ウィクラマシンハ首相もかなり不人気だ。デモ参加者らは9日、首相の私邸に火を放った。首相と家族は不在だった。ウィクラマシンハ氏は、統一政権の道を開くため辞任すると表明したが、時期は明言していない。

憲法の専門家は、国会の議長が暫定大統領に就任する可能性があると指摘する。ただ、マヒンダ・ヤパ・アベイワルデナ議長はラジャパクサ氏の盟友で、国民が同議長の暫定大統領就任を受け入れるかは不明だ。

暫定大統領になった人物は30日以内に、国会議員の中から新大統領を選ぶ選挙を実施する。勝者は、ラジャパクサ氏の任期の残りである2024年後半まで、大統領を務める。

主要野党の指導者サジット・プレマダーサ氏は11日、BBCに対し、大統領選への意欲を示した。しかし、彼も国民の支持を得ているとは言い難い。スリランカ国民の間では、一般的に、政治家への不信感が強い。

抗議デモはスリランカを変革の瀬戸際に追いやったが、国をリードする有力な候補者がいない状況となっている。

抗議デモの驚くべき勝利――アンバラサン・エティラジャン、BBCニュースコロンボ

かなりの長期にわたってスリランカの主要人物であり続けたラジャパクサ大統領にとって、なんという失脚だろう。

このような事態は、ほぼ誰も予想しなかった。

大統領は、かつて国防トップとして、2009年に終結した「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との議論が分かれた内戦において、軍事作戦を監督した。この内戦で、人権侵害を行い、反体制派を攻撃したと非難されているが、ラジャパクサ氏は否定し続けている。

ラジャパクサ一族は、20年にわたってスリランカ政治を支配してきた。多数派の仏教徒のシンハラ人からの強い支持を得て、2019年に大統領に就任した。

ラジャパクサ氏の出国は、経済面での失政や生活費の高騰への怒りを示そうと街頭に出たデモ参加者にとって、驚くべき勝利となった。

スリランカの基本情報

  • スリランカはインドの南方に浮かぶ島国: 1948年にイギリスから独立した。人口2200万人で、その99%をシンハラ人、タミル人、イスラム教徒の3つの民族が占めている
  • ラジャパクサ兄弟が何年も政権を握っていた: シンハラ人とタミル人は長年、内戦を繰り広げていたが、2009年に多数派のシンハラ人のマヒンダ・ラジャパクサ首相(当時)がタミル人分離派を下し、一躍英雄となった。弟のゴトバヤ・ラジャパクサ氏は国防相を務めた後、大統領となった。
  • 経済危機を受けた抗議運動が広がっている: インフレの高騰により、一部の食品や医薬品、燃料が不足しているほか、計画停電も行われている。一般市民は街頭に出て、多くの人がラジャパクサ一族とその政府を非難し、怒りを露わにしている。マヒンダ氏は今年5月に首相を辞任している

追加取材:フランシス・マオ、ヤロスラヴ・ルコフ、サイモン・フレイザー(BBC)