仏大統領の「ロシアに屈辱を与えてはならない」発言にウクライナ反発 東部では修道院燃える

Explosion seen in Severodonetsk

画像提供, Getty Images

画像説明, ロシアの砲撃が続くウクライナ東部の主要都市セヴェロドネツク

ロシアによるウクライナの軍事侵攻について、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は4日掲載の新聞インビューで「ロシアに屈辱を与えない」ことが大事だと呼びかけ、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は同日、そのようなことを言う国にこそ「屈辱」がもたらされると、批判的なツイートをした。

複数のフランス地方紙が4日に伝えたインタビューで、マクロン大統領は「戦いが止まった日には外交を通じて出口が築けるよう、私たちはロシアに屈辱を与えてはならない」、「仲介者になるのがフランスの役割だと確信している」と話した。さらに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が自らの「根本的な間違い」から抜け出す道筋を残すのが、何より大事だと述べた。

「自ら孤立するのはともかく、そこから抜けだすのは難しい」とも述べた。

マクロン大統領は開戦以降、西側首脳としては最も頻繁にプーチン大統領と対面や電話で直接対話を繰り返している。

3日には仏メディアに対し、自分はプーチン氏に、ウクライナ侵攻という「歴史的で根本的な間違いを犯した」せいで、今ではロシアが「孤立」してしまっていると伝えたと明らかにした。

「国民と自分自身と歴史にとって、歴史的で根本的な間違いをしたと、本人に伝えた」と、マクロン氏は述べていた。

さらに5月初めにも、ロシアとウクライナの停戦を呼びかけ、西側諸国は「(ロシアに)屈辱を与えたいという誘惑や、報復したいという気持ちに屈してはならない」と強調していた。

イタリのマリオ・ドラギ首相も5月の訪米時に、欧州の人たちは「停戦の確保と、信頼できる交渉の再開について考えたいと思っている」と米ホワイトハウスで述べていた。

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Macron

画像提供, EPA

画像説明, フランスのマクロン大統領

これに対して、ウクライナのクレバ外相はツイッターで、「ロシアに屈辱を与えるなと言うのは、そう呼びかけるフランスをはじめ全ての国に屈辱を与えるだけだ」と反発。

「なぜなら、ロシアに屈辱を与えるのはロシアだからだ。私たちは全員、どうすればロシアに自分の立場をわきまえさせられるかに集中すべきだ。それが平和をもたらし、人命を助ける」と書いた。

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Presentational white space

ウクライナ政府は、和平実現のための領土割譲はあり得ないという立場を強調している。

セヴェロドネツクで激戦

Woman in bombed-out apartment in Soledar, eastern Ukraine, 4 Jun 22

画像提供, AFP

画像説明, セヴェロドネツクに近いソレダルで、砲撃された自宅に座る女性(4日、ウクライナ東部ソレダル)

東部の主要都市セヴェロドネツクでは、ロシア軍が激しい砲撃に加えて戦車や歩兵部隊を投入して攻撃を重ね、これにウクライナ軍が徹底抗戦している。

ロシア国防省は、セヴェロドネツク防衛でウクライナ軍は、一部の部隊で9割の兵士が死亡するなど、甚大な被害を受けていると発表。通信アプリ「テレグラム」で、ウクライナ軍は今では別の都市リシチャンスクの方向に後退していると述べた。ただし、部隊の数などは明らかにしなかった。

他方で、ウクライナ東部ルハンスク州のセルヒィ・ハイダイ州知事は、ロシア軍はセヴェロドネツクの約7割をいったん制圧したものの、ウクライナ側がこれを部分的に押し戻したと発言。ウクライナ軍はセヴェロドネツクの約2割を奪還したとしている。

「西側の長距離兵器が必要なだけそろえば、(ロシアの)大砲をこちらの位置から追い出す。そうすればロシアの歩兵部隊はたちまち逃げ出すに決まっている」と、知事は話した。

双方による主張を、BBCは独自には検証できてない。

ロシアがセヴェロドネツクを制圧すれば、ルハンスク州全域がロシア軍と、ロシアが後押しする分離派勢力の支配下に入る。ロシアと新ロ勢力はすでに、隣のドネツク州の大半を掌握している。

セヴェロドネツクには窒素肥料を作る巨大なアゾト化学工場があり、シヴェルスキー・ドネツ川を挟んだリシチャンスクには、ウクライナ2番目の規模の製油所がある。そのためこの2都市の掌握はロシアにとってきわめて重要な戦略目標となっている。

Map of the region around Severodonetsk and the Russian military control area
Presentational white space

激戦のためセヴェロドネツクの市街地のほとんどは破壊されているものの、建物の地下には今も数千人の民間人が避難している。

ハイダイ知事は、ウクライナ軍の応援部隊や民間人への救援物資が市内に届くのを防ぐため、ロシア軍が複数の橋を爆破していると話している。

修道院が燃える

東部ドンバスではドネツク州で、木造で有名なスヴィアトヒルスク修道院から出火した。

ウクライナ正教会は、戦闘による炎が僧院の聖堂に引火したと述べた。

ウクライナ軍の将校、ユーリ・コチェヴェンコ氏はフェイスブックで「何も神聖視しないロシアの野蛮人が、また犯罪を犯した」と投稿した。

ウクライナ政府はツイッターで、「ロシアの爆撃で、木造のスヴィアトヒルスク修道院が燃え上がった。ここはモスクワ総主教庁系。5月30日にはロシア軍がここで4人の修行僧を殺した。キリル総主教は今度こそ、プーチン大統領に戦争を終わらせるよう呼びかけるのか、それとも引き続きロシア軍を祝福し続けるのか」と書いた。

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これに対してロシア国防省は、僧院の火災はウクライナの「ナショナリスト」部隊のせいだと主張している。

国防省は「テレグラム」で、ウクライナ第79空挺旅団の部隊がスヴィアトヒルスクから撤退する途中、「ウクライナのナショナリストたちが木造の僧院に放火した」、「地元住民によると、ウクライナのコザク装甲車に搭載された大口径機関銃で、ドーム屋根の建物の木の壁に向けて一斉射撃したという」と書いている。

国防省はさらに、スヴィアトヒルスクの北に位置するロシア軍は「この地域で戦闘作戦を実施しておらず、スヴィアトヒルスク歴史・建造物保存地区の砲撃もしていない」と説明した。

ロシアはこれまで繰り返し、ウクライナの民間施設や市民居住区への砲撃を否定しており、逆にウクライナ軍が地元住民を「人間の盾」にしていると批判している。しかし、現地ウクライナ人や多数の外国人の目撃情報から、ロシア軍の砲撃で多数の民間施設が破壊されている様子が示されている。