米テネシー州議会、銃規制強化求めた民主党議員2人を除名

ホリー・ホンデリッチ、BBCニュース、ワシントン

3月末に小中学校で乱射事件が起きた米テネシー州ナッシュヴィルで6日、銃規制強化を求めるデモに同調した民主党の州議会議員3人を除名する動議が州議会で採決され、3人のうち議員2人が除名された。

共和党が多数を占めるテネシー州議会下院は、銃規制強化を呼びかけた民主党のジャスティン・ジョーンズ議員を賛成72、反対25で、ジャスティン・ピアソン議員を賛成69、反対26で、それぞれ除名すると議決した。

同様に銃規制強化を求める抗議に同調したグロリア・ジョンソン議員については、賛成65、反対30と、必要な3分の2の賛成票が得られなかったため、留任が決まった。

共和党と民主党の両党が支持しない、州議会議員の除名は同州ではきわめて異例。

除名動議の対象となった3議員はこの日、手に手を取ってそろって議事堂に入った。ジョーンズ議員は除名動議を、「民主主義を茶番にしてしまう」ものだと非難。「私たち3人が代表を務めるテネシー州民20万人以上を沈黙させ、その意志を無効にしようとする」「侵害行為」だと強く反発した。

ナッシュヴィルでは3月27日に小中学校で乱射事件があり、子供3人を含む6人が殺害された。この事件を受けて、銃規制強化を求める大勢が州議会議事堂に押しかけていた。

除名動議の対象になった議員3人は3月30日に、州下院の本会議場で「行動がなければ平和はない」と連呼。ジョーンズ議員とピアソン議員は拡声器を使い、演台をたたきながら演説した。議員3人とも、「もうたくさんだ」「人々に力を」などと本会議場で繰り返した。州下院の審議が1時間近く滞った。

議員3人は自分たちの言動が不規則発言にあたり、議会規則に違反したことは認めていたが、議員を除名されるほどの問題行動ではなかったと主張していた。

除名動議で共和党は民主党の議員3人が「下院に混乱と不名誉」をもたらしたと非難した。6日の採決に際して共和党議員の中からは、3議員の行動が「反乱」にあたるとする非難も出た。

除名可決に1票不足したため除名されなかったジョンソン議員は、自分だけ除名を免れたのは自分が白人で、他の2人が黒人だからかもしれないとの見方を示した。他方、ジョンソン議員は拡声器を使わなかったことが理由かもしれないという意見もある。

州下院のキャメロン・セクストン議長(共和党)は3月30日の時点で、3人の行動を連邦議会襲撃事件と比較していた。2021年1月6日の連邦議会襲撃事件は、ドナルド・トランプ前大統領(共和党)の支持者がジョー・バイデン大統領(民主党)の当選認定を妨害しようとして行ったもの。

セクストン議長は銃規制強化を求めて本会議場で抗議した3議員の行動について、「3人の今日の行動は州議会での反乱に匹敵する。少なくとも匹敵するし、見方によってはそれより悪質だ」と述べていた。

除名決議後にジョーンズ議員はBBCニュースに対して、「極端な共和党の圧倒多数で、ほとんど全員が白人の議員団」が「最年少の黒人議員2人を追放した。銃規制に対応を求めたことを理由に」と話した。

テネシー州下院が議決によって議員を除名したのは過去に2回。1980年にはわいろを要求して有罪となった議員が、2016年には性的不法行為が批判されていた与党幹事長が、それぞれ除名された。ただしどちらの場合も、民主・共和両党が超党派で除名を強く支持していた。

6日には3議員の除名動議の採決に先駆け、州下院は学校の安全対策を含む20以上の州法案を審議。その間、ジョーンズ議員はたびたび発言し、乱射事件を受けて「その場限りの」法案を成立させようとしていると批判した。

「生徒たちの安全を確保する対策ではない」とジョーンズ氏は述べ、「公選された公職者として、(銃犯罪の)前線に立たされておびえている、ここにいて泣きながら命乞いをしている若者たちに耳を傾ける、道義的責任が私たちにはある」と強調した。

これに対して、いらだちをあらわにしたマーク・ホワイト議員(共和党)はジョーンズ議員に対して、「私を見なさい。ほかの97人(の議員)を見なさい。まさに、そうしようとしているところだ」と反論。「私はもう14年間、ここにいる。あなたがこの議会の議員になったのは、2カ月か3カ月前のことだ」と指摘した。

テネシー州の銃規制はアメリカでも特に緩やかなもので、2021年には21歳以上の住民は許可なしで拳銃を、公然ともしくは見えないように携行することが認められた。州内では、この規制年齢を18歳に引き下げようとする動きがある。

銃所持に対する一律の身元照会制度はなく、自他に危険を及ぼす恐れがあると判断された個人から一時的に銃を取り上げる権限を当局に与えるための法制もない。

ナッシュヴィルの警察によると、3月27日に市内の学校で銃を乱射し、児童3人を含む6人を殺害した銃撃犯は、銃7丁を複数回に分けて合法的に購入していた。